W123オーナーに聞く S123の魅力とは?
ここまでステーションワゴンが集まったので、「ズバリお聞きします。みなさんにとってS123の魅力とは何ですか?」と尋ねると、「サーフィンが趣味です」「アウトドアが好きだから」と、全員アクティブなライフスタイルの実行者で、これに「S123」は欠かせない、という答えが返ってきました。
実際、鈴木さんも丸山さんも現役のサーファー。キャンプが大好きな伊藤さんは「S123はデザインも使い勝手も最高にイイんですよ」と語ってくれた。
丸山さんも「ボクもアウトドアが大好きで、コイツが来る前はボルボ240ワゴンに乗ってました」。これを聞いた石島さんは「ボクはボルボ850だったんですが、S123とボルボ240ワゴンって、つい比較しちゃいますよね」と、スゴくわかりやすい!
この感覚が旧車ステーションワゴン乗りなんだよねと皆で納得しながら、「S123って自分の趣味を楽しむうえで欠かせないアイテム」、「最高の道具なんですよね」ということで意見が一致した。
かく言うボクも、実は大きなワンコが居るので「S123」を探したのですが、残念ながら多くの「S123」は古いディーゼルなので大都市圏では所有することができず、残念ながらあきらめました。
え、トヨタ製直6に載せ換え?
そんな話をしていたら、「ボクのはガソリンエンジンに乗せ換えているんですよ」と石島さん。
「あれ? リアゲートに300TDのバッチが付いてますけど?」と尋ねると、「実は1991年式のトヨタ1JZ-GTE、直列6気筒、2.5Lのツインターボエンジンとトランスミッションに乗せ換えてます。邪道ですが……」と謙遜気味。
早速エンジンルームを拝見すると、そこには本来あるべきメルセデス製5気筒ターボディーゼルエンジンの代わりに、トヨタの6気筒ガソリンエンジンが、それこそ言われなければまったく気が付かないほどスッキリ収まっていて、いたるところに安心の「TOYOTA」マークが。
「すでに買った時に換装されてた」そうだが、実際にこのようなケースは他にもあるようで、ネットで見つけたある「S123」も「エンジン換装済」と書いてありました。
たぶん280用のガソリンエンジンに載せ替えていると思うのですが、石島さんは「いままで致命的な故障はないですね。エンジン&ミッションともに調子いいんです」と胸を張る。
確かに北米では空冷VWバスにスバルの水平対向エンジンとトランスミッションを換装する人が多く、専用ハーネスキットまで用意されている。旧車を長く乗ろうとした時やイザという時のパーツ供給などを考えれば、このように比較的容易に入手可能な信頼できる日本製部品に交換しておくのはアリだ。
ジャーマン製ガソリンエンジンを搭載する「280TE」乗りの伊藤さんは「ボクはエアコンが壊れた時、コンプレッサーを日本のサンデン製に換えました。オルタネーターも日本電装製に換えてます。エアコンもよく効くし、まったく問題ないですよ」と話してくれました。
旧車に乗っていて常々思うのは、ネジ1本まで純正にコダワリたいという気持ちと実用的で快適な旧車ライフを送りたいというジレンマ。 でも実際にこうして同じクルマに乗る仲間からリアルな体験談や有益な情報をもらえると、本当に目の前が明るく開け、旧車ライフが一層楽しくなっていきます。
さて、大人気のステーションワゴン「S123」。 日本仕様は古いディーゼルですが、まだ乗れる地域はあります。
今回唯一、日本仕様の「300TDT(ターボディーゼル)」で駆けつけてくれた丸山さんは、この貴重な個体をそのまま乗れるだけでなく、旧車の世界では誇り高い「ナンバーリレーバトン」を今年1月に受けたばかりのラッキーガイだ。
「ナンバーリレーバトン」とは、例えば「品5」とか「品川33」などの古いナンバーを引き継いで譲り受けることを指しますが、これを行うには、同じナンバー管轄区域内の居住者だけに限られてしまいます。
丸山さんの「300TDT」には初度登録した40年前に交付された「〇〇 33 に 873」のナンバープレートが付いていました。「最初は女性がオーナーで『おはなさん』と呼ばれてたらしく、なのでナンバーが『873』なんです。その後、うちの町会長が受け継ぎました」。
フロントグリルにはたくさんの走行距離表彰の記念バッチが誇らしく付いている。「エンジンは一度、ヤナセでオーバーホールしましたが42万㎞走ってます」。さらに丸山さんは、「5年前から譲渡したいという話があったんですが、ついに今年の1月、自分にバトンが回ってきました」。
実車を拝見すると内外装ともに多少のヤレはあるものの、そこはさすがのメルセデス・クオリティ。むしろほど良いヤレ感が40年という長い時間の味わいを醸し出していてとても良い感じだった。
キレイに乗ってもヤレた感じで乗っても絵になるのは、まさに旧車ならではの醍醐味であり、それが許される特権と言えます。
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