今回は新車が売れてない!? 今や決算セールは買い時ではなくなったのか?

■“増販期”でなくとも新車は安く買える?

 そもそも、年度末セールのような“増販期”でないと、新車を安く買えないのか? と疑問を持つ人もいるかもしれないが、新車の車両本体価格からの値引きとなる 、“車両本体値引き”は、一般的には通年で大きく変動することはない。

 要は増販期には、用品からの値引きや、下取り査定額の上乗せ、特別低金利ローンの設定など、周辺からの“値引き支援”が充実するので、増販期には結果的に買い得に買える環境が整うことになるのだ。

 あるベテランセールスマンは、「それこそ昭和末期から平成の中ごろまでは、年度末、夏商戦、半期決算、秋商戦と年間で4つの増販期があり、その時期の販売台数の多さは突出しており、年間グラフにすると、かなりデコボコしたものになっておりました。

しかし、平成中ごろ以降になると、バブル経済の頃、つまり史上最多の年間販売台数を記録した頃と比べると、半減ぐらいまで市場が縮小しています。

そのため『増販期だけ多く売れればいい』と思っていると、増販期以外は販売台数ゼロなど深刻な不振状況に陥ってしまいます。

市場が極端に縮小しているので、増販期での販売台数増を緩やかにし、できるだけ年間を通じて平準化させようというのが、いまの新車販売の世界です」と語ってくれた。

「コロナ禍の影響」のみならず、新車販売を取り巻く状況は大きく変わっているようだ
「コロナ禍の影響」のみならず、新車販売を取り巻く状況は大きく変わっているようだ

■年度末決算セールは希望モデルの“奪い合い”、さらなるデメリットも!?

 年度末決算セールは特典も多く、買い得な購入条件を引き出しやすいのだが、「新型車が欲しい」という人もかなりの数になるので、セールスマンとの交渉のほか、新型車購入希望客同士で“タマ(当該車種)”の奪い合いになることもしばしば。

 この時期ならではの商談の進め方としては、商談前に、希望する車種、グレード、ボディカラー、オプションが揃っている在車があるか確認し、在庫車があればそれをまず数日間“押さえて”から商談を進めることになる。

 仮にこの押さえている期間に契約まで至らなければ、次に待っている人へ権利が移ることになる。だいたいは二度と同じ在庫車を手にすることはなく、他人の手に渡ってしまい、“逃した魚は大きかった”となる。

 また、値引き交渉でも、セールスマンの世界もスタッフ不足が深刻なこともあるので、効率のいい販売活動が求められている。そのため「このお客は結論が遅いな」とセールスマンに思われると、ドンドン後回しにされ、結論の早いお客から値引きを拡大し、契約まで持ち込もうとしてくるのである。

 強く意識する必要はないが、Webサイトなどで商品内容や、見積りシミュレーションを行い、“予習”をしっかり行ってから商談に臨み、“結論の早い客”をアピールしないと、その他多くのお客の中に埋没してしまうので注意してもらいたい。

 さらに、年度末決算セールは新車がよく売れるので、納車後に思わぬ洗礼を受けることになる。

 年間で最も新車が売れる月なので、その後の法定点検や車検の時期も同じなので、自分の希望するスケジュールでメンテナンスを受けるのが至難の業となってしまうのである。

 メンテナンスが受けられる日に合わせて、自分のスケジュールを調整しなければならなくなるおそれもある。

「売れる3月」に買うと、点検が希望日に受けるのが難しくなるというデメリットも(OATZPENZ STUDIO@AdobeStock)
「売れる3月」に買うと、点検が希望日に受けるのが難しくなるというデメリットも(OATZPENZ STUDIO@AdobeStock)

■年度末決算以外でもおトクは多い! 狙い目の時期は??

 増販期には、値引きアップを支援するツールが充実すると前述したが、増販期以外でもそのほとんどは利用することが可能。

 増販期との違いは、増販期はオフィシャルにその存在を告知したり、「どんな下取り車でも一律10万円アップ」としているだけで、特別低金利ローン以外は、個別対応してもらうことも可能なのである。

 年度末などとは異なり、年間で新車が昔ほどではないものの売れにくい時期が、4月と8月。4月はその前月が年度末決算セールの追い込み月である3月であり、新年度がスタートしたばかりで、さらに下旬になると世の中はゴールデンウイークで浮き足だってしまうことが影響しているようだ。

 8月はディーラーがお盆に長期の休みをとるので、稼働日数が少ないことが大きく影響している。

 ただ、ホンダは4月もそのまま年度末決算セールの特典対象期間を延長したりするなど、4月の新車販売にも気合が入っているのでねらい目。

 8月はお盆休みが明ければ、9月の事業年度締めでの半期決算セールを意識し、間に合えば8月実績にしたいとの思いもあるので、かなり買い得な時期に入ってきている。

 また、新車がよく売れていた頃の12月は、すでに11月までで年間目標販売台数達成のメドがついていたので、年末のあいさつ回りや、点検整備車両を漏らさず年内入庫させるなどの仕事がセールスマンのメインで、すでに正月モードに入っていた。

 しかし、新車が目標どおりになかなか売れないいまでは、12月も“年末セール”として、ギリギリまで受注を追いかけるようになっているので、12月も狙い目となっている。

ホンダは4月の新車販売にも気合が入っているのでねらい目
ホンダは4月の新車販売にも気合が入っているのでねらい目

次ページは : ■まとめ 今は通年で「増販期」と言える??

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

トヨタの韋駄天が覚醒する! 6代目NEWスターレットのSCOOP情報をはじめ、BC的らしく高級車を大解剖。さらに日産・ホンダの協業分析、そして日向坂46の富田鈴花さんがベストカーに登場! 新社会人もベテランビジネスマンまで、誰もが楽しめるベストカー5月10日号、好評発売中!