ルノー新型キャプチャーは国産コンパクトSUVの脅威になるのか?

■トランク容量はクラストップレベル

 車内の居住性や積載性について、キャプチャーの特徴として挙げられるのは、後席にも空調の吹き出しがあることや、リアシートに前後16cmのスライド機構があること。トランクもクラストップを謳うだけあり最大で536リットルと、競合の大半が400リットル台に対し圧倒的に大きい。

536Lの荷室容量は、欧州BセグメントSUVクラストップの大容量だ
536Lの荷室容量は、欧州BセグメントSUVクラストップの大容量だ

 一方、最近では日本勢がこのクラスでも電動テールゲートを採用しはじめたところだが、キャプチャーをはじめ欧州勢はまだ。これがゆくゆくモデルライフ途中に採用されるとは考えにくく、次期型に期待するほかないであろう。

 インテリアのデザインもなかなかユニークで、このクラスながらお金がかかっている印象を受けるのも、ダウンサイザーの受け皿として、広さだけでなく質も求められることに応えるためだ。

 装備的には、カスタマイズ可能なデジタルメーターを採用しているほか、カーナビは「マルチメディア イージーリンク」によりスマホとつないでアプリをミラーリンクする設定。これで充分といえば充分だが、物足りない人はその点を認識しておくべき。

■ハンドリングは軽快だが、さらなる熟成に期待

 一方、見た目に加えて走りや乗り心地など、身体に感じる部分の質でクラスを超えるレベルまで大きく引き上げた、としている。ストローク感がありながらほどよくひきしまった足まわりは、初代はこのクラスとしては予想外の重厚な感覚があったところ、軽快な走り味になっているのは、このほうが現代に求められるからだろうか。

 ハンドンリングはかなり俊敏であることも印象的だ。ただし、曲がり過ぎる感もあり、切り返した時の揺り戻しも生じやすく、そのあたりはこれから煮詰められていくことと思う。

 日本勢の走りについて述べると、現状このクラスの日本勢でもっともまとまりがよいのはキックスだ。海外では数年前に出たクルマをキャリーオーバーした改良版が日本仕様なのだが、しなやかな乗り心地と正確な操縦性はなかなかのもの。改良により洗練度の増したe-POWERの極めてリニアなレスポンスは、たしかに「ひと踏み惚れ」させるだけのインパクトはある。

乗り味は新型のCMF-Bに対し、旧型のVプラットフォームをベースに日産が独自改良を施したキックスのほうが優れているとのこと
乗り味は新型のCMF-Bに対し、旧型のVプラットフォームをベースに日産が独自改良を施したキックスのほうが優れているとのこと

 かたやヤリスクロスはガソリン、ハイブリッドとも気になる点も少ないが積極的によいといえる点もあまりなく、全体的にやや薄味で、もう一歩に期待したい。

 CX-30は運動性能はまずまずであるものの、跳ね気味の乗り心地や煮詰め不足のパワートレーンなど、同じく現時点ではもう一歩。共通性の高いマツダ3が大幅に改良されてよくなったので、CX-30も近いうちにそうなるはずだ。

 新型がどうなるのか気になるヴェゼルは、これまた共通性の高い現行フィットがクラスを超えた「心地よさ」を実現したことから予想すると、それなりにレベルの高い仕上がりになりそうだ。

■コスパは日本車勢にかなわないが、輸入車としては頑張った!

 そんな日本勢に対し、キャプチャーで印象的なのはエンジンの速さ。スペック的にも154ps/270Nmというだけあって、このクラスとしては望外なほどパワフルだ。

 組み合わされるのがDCTというのも欧州勢では一般的ながら日本勢にはない設定で、一長一短あるのはご存知のことだろうし、日本のように停止再発進を繰り返すなら、CVTやATのほうが好都合であるわけだが、日本でもDCTを好む人は少なくない。

 かたや日本勢は、このクラスでも本格的ハイブリッドの選択肢が充実しているのが特徴だ。ここはなかなか横比較しにくい部分なので、お好みで、ということにしたい。

日本勢の強みは、ヤリスクロスをはじめストロングハイブリッドシステムなどで電動化した車種が充実していることだ
日本勢の強みは、ヤリスクロスをはじめストロングハイブリッドシステムなどで電動化した車種が充実していることだ

 リアがドラムブレーキというのが気になる人もいるだろう。それ自体が悪いわけではないが、それに起因する発進時の電制ブレーキのひきずりが見受けられるのが難点で、もう少しよくなるよう望みたい。

 先進運転支援システムについては、日産のプロパイロットとシステム的には共通で、ルノー独自のキャリブレーションが施されている。制御としては加減速やステアリングの制御の味付けにやや気になるところなど、今後の課題もあるものの機能的には申し分ない。

 2グレード展開で価格が299万円~というのは、くしくも宿敵のプジョー2008と同じ。むろん数字としては日本車のほうが低いことには違いなく、受け取り方は人それぞれだろうが、興味を持った人にとって価格的には購入のハードルは低い。

 コスパの高さは脅威≒驚異というと少々大げさな気もするが、輸入車としてはなかなかがんばったと思う。

【画像ギャラリー】キャプチャーと国産ライバルを比較してみる!

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