■人気車はより売れて不人気車は低迷
しかし今のように全店で全車を買える体制になると、もはや垣根はなく、人気車はすべての店舗で売れゆきを伸ばす。逆に不人気車は低迷する。
この典型がアルファードとヴェルファイアだ。両車は基本部分を共通化する姉妹車だが、2021年2月の登録台数は、アルファードが1万台を上まわった。逆にヴェルファイアは1005台だ。フロントマスクなど外観の部分的な違いだけで、10倍の販売格差が生じた。
2021年2月にハリアーは前年の3.7倍売れたが、仮にトヨペット店の専売車種だったら、ここまで伸びなかった。その代わりRAV4など、ほかの車種の登録台数が少しずつ増えていた。
以上のようにトヨタの小型/普通車に占めるシェアが50%を上まわり、全店が全車を扱うと、トヨタ車同士の競争が一層激化する。今はヤリスクロス、ハリアー、ライズが好調だが、今後別の人気車が登場すれば、この3車が競争に敗れるかも知れない。
販売力の強い車種を浮き彫りにすることも、全店が全車を売る目的のひとつだが、それが必ずしもトヨタにメリットをもたらすとは限らない。ホンダの軽自動車、N-BOXが絶対的な売れ筋車種になったように、販売の主力が低価格化する危うさも秘めるからだ。
販売促進を偏りなく行うことが、顧客満足度を高めて、バランスのいい売れ方をすることにもつながる。
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