一般社団法人 日本自動車販売協会連合会(自販連)の発表している販売台数ランキングで、2021年2月のトップ10を見てみると、7位:日産『ノート』、10位:日産『セレナ』が入っているが、そのほかはトヨタ車が占めている。
●2021年2月 販売台数ランキング
1位 トヨタ ヤリス 2万559台
2位 トヨタ ルーミー 1万1954台
3位 トヨタ アルファード 1万107台
4位 トヨタ カローラ 8766台
5位 トヨタ ハリアー 8006台
6位 トヨタ ライズ 7901台
7位 日産 ノート 7246台
8位 トヨタ ヴォクシー 7094台
9位 トヨタ シエンタ 6360台
10位 日産 セレナ 6305台
なぜここまでトヨタが圧倒的な強さをみせているのか? その勝因とは何か? そして、そんな一強の時代が来ることで心配されることとは何か? 考察していきたいと思う。
文/渡辺陽一郎
写真/ベストカー編集部
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■コロナ禍でも堅調に売れてしまう、トヨタの強さはどこにある?
2020年には、日本国内で約460万台の新車が売られた。コロナ禍の影響を受けたものの、前年に比べて12%の減少に収まった。クルマは定期的に新車に乗り替える需要があり、販売店も感染対策を行いながら営業を続けたから、販売台数の落ち込みを最小限度に抑えられた。
そして2020年における新車の売れ行きをメーカー別に見ると、例年どおりトヨタが最も多い。レクサスブランドも加えると、軽自動車を含めた総市場では、トヨタの販売比率は33%だ。トヨタ車の販売台数が少ない軽自動車を除き、登録車(小型/普通車)に限ると、トヨタが51%を占めた。登録車では、なぜここまでトヨタ比率が高いのか。
登録車市場でトヨタのシェアが半数を超えた背景には3つの理由がある。
1つ目の理由は、トヨタの登録車には、以前から商品力の高い車種が豊富にそろうことだ。特に2020年は、コンパクトカーの『ヤリス』とコンパクトSUVの『ヤリスクロス』が発売されて登録台数を伸ばした。2019年に発売された『ライズ』や『カローラセダン&ツーリング』も好調で、登録台数ランキングの上位に喰い込んだ。
これらの新車が好調に売れた効果もあり、2020年のトヨタは、コロナ禍による落ち込みが最も少なかった。登録車市場で見ると、トヨタの対前年比はレクサスを含めて6%の減少に留まる。国内新車市場全体のマイナス12%を下まわった。
ほかのメーカーの登録車は、ホンダがマイナス18%、日産は同28%、マツダは同15%という具合に大幅に減ったから、減少の少ないトヨタのシェアが増えて過半数に達した。
2つ目の理由は販売店舗数だ。トヨタ店/トヨペット店/トヨタカローラ店/ネッツトヨタ店を合計すると約4600店舗になる(レクサスの約170店舗は除く)。2010年には5000店舗を超えたから、今はクルマの売れ行きに合わせて減少したが、それでもホンダの約2150店舗、日産の2100店舗に比べると2倍以上だ。スバルは約460店舗だから、トヨタは10倍になる。
トヨタ車はどこに住んでいても購入しやすく、車検や点検も、手間を要さず安心して受けられる。販売/サービス網の充実も、トヨタの登録車が高いシェアを保つ大切な理由だ。
3つ目の理由は、トヨタが軽自動車を扱っていないことだ。近年のホンダや日産は、軽自動車の開発と販売に力を入れる。この影響で登録車の売れ行きが下がり、トヨタの登録車シェアをさらに増やした。
例えばホンダの国内販売台数に占める軽自動車比率は、『N-BOX』が登場する前の2010年は25%だった。それが2020年は53%に達する。N-BOXだけでも、2020年に国内で売られたホンダ車の32%を占める。そこに『N-WGN』なども加えると、軽自動車の国内販売比率は過半数に達するわけだ。
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