WRCで勝つための競技車両ベース車として開発されたGRヤリス。その生い立ちと同様の背景をもつ過去の日本を代表するモデルといえば三菱のランサーエボリューション、それにスバルのインプレッサWRX STIだ。
ランエボとインプレッサWRXは平成の競技用ベース車で時代は違うが、ラリーのために誕生したクルマとして、GRヤリスはこの2モデルを超えているのか?
またパフォーマンスの面でも、ランエボとインプレッサWRXが2Lターボエンジンを搭載していたのに対し、GRヤリスは1.6Lターボとパワーユニットは大きく異なるのだが、ここでは平成時代の2大コンペティションモデルと比較することで、GRヤリスの実力により深く迫っていきたいと思う。
文/斎藤 聡
写真/TOYOTA、SUBARU、MITSUBISHI、ベストカー編集部
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■レギュレーションが異なるとクルマ作りの違いがでてくる
“GRヤリスはランエボインプレッサを超えているのか?” 超えているかどうかはともかく、GRヤリスは今WRCで勝つための要素をすべて取り入れた、コンペティションベース車としての優れた資質を持ったクルマであることは間違いありません。
何を歯にモノが挟まったような書き方をしているのか? と思われるかもしれませんが、時代背景やレギュレーションが異なるので、当然ベース車となるクルマの作り方にも違いが出てくるわけです。
ランエボ、インプレッサの時代は、華々しくも過激を極めたグループB車両の時代が終わりグループA車両に移行した1990年代。グループA車両はベース車両の性能、ポテンシャルがモノをいうカテゴリーです。
改造範囲が限定的であるうえ、年間5000台以上販売しないとホモロゲーションが取得できないので、戦闘力のあるベース車両を作るのはメーカーとしても、かなりハードルの高いレギュレーションでした。
■ランエボ&インプレッサは競技車のような性能を持っていた
そんな時代になぜランエボとインプレッサが存在したのかというと、日本のWRCで勝ちたいと強く願うメーカーが2社同時に存在してしまったのが理由です。
ベース車両にお金をかけ、ノウハウをつぎ込み、発売するや年改しながらグレードアップを図るという、開発している当のエンジニアからも悲鳴が上がるほど過酷で激しいものでした。けれども眼の前に強力なライバルがいるのですから、休みたくても休めない。手を休めた瞬間勝てなくなってしまうわけです。
そんなふうに文字どおりしのぎを削り、バチバチにやりあってきたのです。
ランエボV以降、インプレッサならGDB型(2代目)以降のモデルは市販車に乗ってもものすごくボディの剛性感が高いし、エンジンなど競技車のようなパフォーマンスを持っていました。
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