GRヤリスはランエボやインプレッサWRXを超えているのか?

■GRヤリスも市販車レベルではすごく出来がいい!

スバル インプレッサWRX STI(2代目)
スバル インプレッサWRX STI(2代目)

 一方、GRヤリスに乗ると、ランエボやインプレッサと比べてちょっと華奢な印象があります。ダメなのではなく、それがレギュレーションの違いなのです。

 現在のWRCのトップカテゴリーはWRカーと呼ばれ、エンジンは1.6Lターボで36mmのリストラクター付(吸気量制限)。ちなみにエンジンは専用設計の競技用エンジンです。

 エクステリアでは空力パーツの取り付けなど自由度が高く、サスペンションもフロントの形式変更はできませんが、リアサスはFF→4WDの変更が認められているためサスペンション形式の変更も可能です。

 トヨタもWRCに勝つためだけでなく、多分に販売戦略的な意向もあって、市販のGRヤリスをWRカーに寄せてデザインすることで、高性能なイメージを高めるとともに、国内で力を入れているN1車両による国内ラリーでの戦闘力も考慮して作られているのだろうと思います。

 華奢と書きましたが、ランエボやインプレッサが性能重視で異常に骨太だっただけで、GRヤリスの操縦性は軽快かつシャープです。市販車レベルでみるとものすごくよくできています。

 そのコア技術のひとつになっているのが4WDシステムのGR-FOURです。モードスイッチによって前後トルク配分60対40のノーマル、30対70のスポーツ、50対50のトラックモードの設定があります。

 国内のラリー競技ではたぶん50対50をメインで使うはずですが、一般道やスポーツドライブでは30対70が楽しい気分を引き立ててくれます。

 ランエボやインプレッサは、振り回す面白さなど二の次で、操縦性を追い求めた結果のコントロール性のよさだったわけですが、GRヤリスは、あくまでも市販スポーツカーということから振り回す面白さを演出しているように思います。

■余裕から生まれるクルマの楽しさ

GRヤリスはスポーツカーとしてのエンターテイメント性を盛り込むことで市販車としての魅力を高めている
GRヤリスはスポーツカーとしてのエンターテイメント性を盛り込むことで市販車としての魅力を高めている

 当面、強力なライバルがいないことも操縦性に遊びの余裕(?)があるのだろうと思います。

 エンジンは272馬力/370Nmを発揮します。刺激的ですが思わずアクセルを戻してしまうほど迫力があるわけではありません。このあたりはハンドリングも含め、ライバルがいないゆえにシビアにセットアップしているという感じではなさそうです。

 試乗した印象として、ランエボ、インプレッサのほうが、競技車両ベース車としてのヒリヒリする緊張感が強かったように思います。GRヤリスはベース車両であると同時にスポーツカーとしてのエンターテイメント性も盛り込むことで、市販車としての魅力を高めている、といったところでしょうか。

 もうひとつ大切なことは、この時代にこんな楽しいスポーツカーをトヨタが作ったということです。「楽しいクルマ作り」の一環なのでしょうが、ラリー競技やラリーフィールドからフィードバックされるノウハウはさらに次のモデルに反映されるはずですから、そのあたりにも期待が膨らみます。

 欲を言えば、ほかのメーカーからもぜひこのカテゴリーに参戦してもらって、切磋琢磨することでこのカテゴリーがさらに盛り上がることを期待したいところです。

【画像ギャラリー】戦うために生まれたクルマ!! WRC勝利を目標に開発されたGRヤリスを見る

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