ここ数年でエンジンは劇的な進化を遂げている。わずか1%熱効率を改善するために、どれだけの技術者が知恵を絞り、試行錯誤を繰り返し、エンジンを熟成させてきたか。
また、ガソリンエンジンは火花点火という常識を覆し、圧縮着火をついにモノにしたマツダのSPCCI(SKYACTIV-Xで採用)……。エンジンの魅力はこれまで以上にないほど奥深く高まっていた。
それにも関わらず、欧州メーカーがEV化を打ち出したと同時に、欧州では純エンジン車販売禁止政策を打ち出してきたことでエンジンの未来は大分雲行きが怪しくなっているように見える。
日本企業と合弁しても、なかなかエンジン技術をモノにできない中国も、補助金をバラまいてEVメーカーを続々と誕生させ、エンジン車包囲網を構築してきている(それもちょっとボロが出てきているが)。
EVのもつ可能性の素晴らしさ、それを否定するつもりなど毛頭ない。けれどもクルマとしてはEVだけにするのはリスクがあり過ぎるし、後述のとおり、そもそも無理があるのだ。
ハイブリッド車も必要であればエンジンを利用することに変わりないのだが、どうしてもエンジンは脇役にされつつある。
けれどもエンジンだけでもカーボンニュートラルは実現可能なのだ。どういうことか、ここで明らかにすると共にエンジンに未来はないのか、ここで考えてみたい。
文/高根英幸 写真/MAZDA、Audi、TOYOTA
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