■日米のレクサス販売実績を比較する
ここからは販売実績を見ていこう。レクサスブランドの日本での開業は2005年。開業後初めてフルカウントとなる、2006暦年での年間販売台数は3万1097台となっている。
そして直近となる2020暦年締めは、新型コロナウイルス感染拡大もあったのだが、4万9059台(2006年比約157%)となっている。参考までに2019暦年締めでの年間販売台数は6万2394台となっている。
世界で最もレクサスブランドが成功しているとされる、アメリカ市場をみると、2020暦年締め年間販売台数は27万5041台となり、日本市場比で約560%の販売規模となっている。
これくらいの販売ボリュームを維持しなければならないとなると、さすがに「値引きはできません」というわけにはいかず、アメリカ市場ではしっかりと値引き販売が行われている。
2020暦年ベースで売れ筋を見ると、自販連(日本自動車販売協会連合会)統計では、ハイブリッド、ガソリンなどと統計が分かれているのだが、トップはUX250hの9116台となっている。
自販連統計をベースに車名別に置き換えると、トップはRX系で1万4274台、以下UX系(1万374台)、NX系(9724台)、ES300h(5171台)となっている。そしてこの4車で3万9543台となり、ブランド全体の80%を占めている。
アメリカ市場では、トップがRX系で以下NX、ES、GX(日本未導入のSUV)、UXとなっているので、SUV系が強いというところでは大きな違いはないといえるだろう。それでも、RX系だけで10万台以上も販売してしまうことには驚かされる。
日本におけるレクサス車の販売は受注生産販売が原則となり、納車まで早くても3カ月ほどかかるとされている。
車両本体価格からの値引きは“セロ”が大原則となり、下取り車があれば、査定額の上積みにより、事実上の値引き販売をしているとの情報があり、とくにレクサス車からレクサス車へ乗り換えるというパターンでは、査定額の上積みがかなりの金額になるという話も聞いている。
日本ではLSよりもESがよく売れているのだが、現行LSの全長が長すぎて、ユーザーが富裕層であるにも関わらず、“車庫に収まらない”という事態が多発し、「それならこれで」とESがデビュー時にはよく売れているようである。
●アメリカではレクサスは社会的ステイタスの象徴
一方のアメリカでは、ESは値引き販売しているレクサス車のなかでも、値引きが少なくても契約してもらえる、「レクサスの中で最も売りやすいモデル」ともいわれている。
南カリフォルニア在住新車販売事情通によると、「日本でいうところのサラリーマンで、課長職というと、日本車ではトヨタ カムリや日産アルティマ、ホンダ アコードクラスを通勤用に使っていることが多いです(いまはSUV人気高いので圧倒的には多くないが)。
ところが出世して部長に昇格すると、オフィスでは個室がもらえます。そして、部長になると、喜び勇んでカムリからESへと乗り換えるケースが目立ちます。
課長職のころでは通らなかった、レクサス車のローンやリースの審査が通り、レクサス車のなかでは廉価車種の部類に入りますが、「レクサス車が買えた」ということは、社会的ステイタスがアップしたことを暗に示すこともできるのです。
そのため、値引き交渉もそこそこに契約してもらえるので、売りやすく、そして意外にも結構儲かるレクサス車となっているのです」と話してくれた。
コメント
コメントの使い方