国内でレクサスがスタートして16年! おもてなしサービスと北米販売はどうなっているのか!?

■値引き販売をしないから収支が成り立つ

米国ではオプション扱いとなっている贅沢装備が日本では標準装備され、贅沢仕様として販売されている
米国ではオプション扱いとなっている贅沢装備が日本では標準装備され、贅沢仕様として販売されている

 日本全国に大きく豪華なディーラーを設けておきながら、2019年の年間販売台数でも、開業当所の200%ほどしか販売台数が増えていなくてやっていけているのかということも気になるところ。

 まずは、販売台数は“メルセデスベンツ以下BMW以上”となっているのだが、やはり原則値引き販売を行わないというところは収益に大きく貢献しているといえよう。

 母体トヨタ系販売会社の事業部扱いでレクサス店が展開されていると前述したが、トヨタブランドは値引き行って販売しているので、母体販社の収益減におけるレクサスブランドの収益の貢献度合いは生半可なものではないとのことである。

 メルセデスベンツやBMWの国内販売台数はレクサスとそれほど変わらないが、値引き販売は行なわれており、時期によっては“3桁万円値引き”が出るのも珍しくない。

 それでは、値引きをしないレクサスに比べれば収益は悪いのではと思うかもしれないが、そもそも、インセンティブ(販売報奨金)や、車両価格における値引き余力が日系ブランドよりたっぷりしているので、しっかりと利益を出している。

 日本向け仕様は本国などではオプション扱いとなっている、大径タイヤ&ホイールなど、オプションを多数標準装着した“贅沢仕様”となっているので、世界的にも台当たり利益が大きいとされているのである。

●部品代もレクサス価格!? メンテナンスでの収益も大きい

たとえトヨタ車と共通のパーツであっても、『L』のロゴがつくだけで価格が跳ね上がる
たとえトヨタ車と共通のパーツであっても、『L』のロゴがつくだけで価格が跳ね上がる

 レクサスでは新車販売による収益だけでなく、メンテナンス部門の収益もハンパではないとのこと。

 日本国内の業界事情通いわく「プレミアムブランドを自称するレクサスですから、部品代なども、トヨタブランド車と共通部品であってもバッジ違い(レクサスになる)で1.5倍になるという話は業界で広く聞く話です。

 そのため、いわゆるディーラー車検(検査+法定点検)の料金も“30万円から”と、DM(ダイレクトメール)で入庫案内しているという話も聞いています。一般的なディーラー車検の案内が20万円弱ですから、1.5倍ということになりますね」。

 レクサス車は日系車では珍しく、いわゆる“メンテナンスパック”が標準付帯されている。そのため、車検もそのままレクサス店で受けるケースが圧倒的に多く、メンテナンス収益もかなりのものとなっているのである。

 メルセデスベンツやBMWなども、いまどきは庶民でも手の届くFFのコンパクトモデルを多数ラインナップしているが、海外生産モデルということもあり、部品代なども含めてメンテナンスコストは日本車に比べれば割高に感じるものとなっている。

 レクサスが国内で開業したころは、既販車が圧倒的に少なく、新車販売における収益だけが頼みの綱であった。そのため、開業当初に聞いた話では、一般固定費負担だけで利益が飛ぶといった話も聞いたが、15年経過し既販車もそれなりの規模となり、メンテナンスでの収益もかなりのものとなっているようである。

レクサスを買い求めるユーザーは単なる高級車ではなく「レクサス」という世界観を購入するのかもしれない
レクサスを買い求めるユーザーは単なる高級車ではなく「レクサス」という世界観を購入するのかもしれない

 いままでの新車販売の世界から見れば、“特異”な部分が目立つレクサス。

 しかしその世界観や、「値引きをしない」という売り方などに共感し、レクサス店及びそこのスタッフとともに価値観を共有できるひとだけに乗ってもらえればいいと考えれば、そんなに販売台数を追いかける必要もなく、しっかりと利益を確保することができるのである。

 ブランドに満足していれば、提示された金額に対し、“高い”という反応はないはず。また“高い”と感じたひとはレクサスを買わない、というわけだ。

 価値観を共有しているひとがオーナーなのだから、車検代などについても、外野のわれわれが“高いような”と思うものであったとしても、それは“レクサスブランドとはなんぞや”というものが理解できていないからそう見えるだけと言われるかもしれない。

 ただ、値引き販売を行っているメルセデスベンツだが、日本だけでなく諸外国でも“レクサスより上”というブランドイメージを抱くひとが一般的に多いと見受けられる。

 値引き販売を否定しないメルセデスベンツはあくまでもクルマそのものだけでもプレミアムブランドとなるが、レクサスはクルマとそれに付随する世界観や価値観も含めた“レクサスワールド”という物差しで見た時に、初めてそのブランドステイタスが完成するものと考えたほうがいいだろう。

【画像ギャラリー】セレブ感あふれる『おもてなし』にタジタジ 独特の手法で販売されるレクサス車たち

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