軽新車販売2年連続のマイナス!? 何が起きている? いよいよ軽離れ加速か?

■消費増税後から減り続けている軽自動車販売

スーパーハイトワゴンの先駆者であるタントだが、現在はライバル車との競争が激化して以前ほど販売台数を伸ばせていない
スーパーハイトワゴンの先駆者であるタントだが、現在はライバル車との競争が激化して以前ほど販売台数を伸ばせていない

 問題はその後だ。2019年10月に消費税が従来の8%から10%に引き上げられ、以前の増税時ほどではないが、高額商品であるクルマの売れ行きは少なからず下がった。2019年度における軽自動車の売れ行きは、前年度に比べて3.5%減っている。

 小型/普通車は4.6%の減少(特に消費増税に敏感な輸入車はマイナス5.2%)だから、軽自動車は落ち込みが少なかったが、それでも従来から続いた好調に陰りが見えた。

 2019年度に伸び悩んだ原因として、消費増税に加えて新型車の販売不振もあった。2019年7月に登場したタントは、2019年度には17万2679台を届け出して前年度に比べると21%増えたが、N-BOXの24万7707台は抜いていない。

 ちなみに先代タントが2013年10月に登場した時は、2013年度に18万588台、2014年度には21万4867台を届け出してN-BOXを抜いた。これに比べると現行タントの販売不振は深刻で、ダイハツにとって解決すべき課題になった。

 そこでタントは、新型車の発売直後としては異例ともいえる、実質値下げを行った格安の特別仕様車を連続的に投入した。それでも売れ行きは依然として伸び悩む。2020年度の軽自動車届け出台数ランキングでも、1位はN-BOX:19万7900台、2位はスペーシア:14万5319台で、3位がタント:12万8218台になった。

日産のデイズ。2019年にフルモデルチェンジされ、軽自動車のなかでは設計が新しい部類だが、販売は伸び悩む
日産のデイズ。2019年にフルモデルチェンジされ、軽自動車のなかでは設計が新しい部類だが、販売は伸び悩む
ホンダのN-WGN。2019年度の販売台数が少なかったため、2020年度では対前年比で148.2%の伸びとなっているが、台数自体はそれほど多くない
ホンダのN-WGN。2019年度の販売台数が少なかったため、2020年度では対前年比で148.2%の伸びとなっているが、台数自体はそれほど多くない

 2019年3月には現行デイズも登場したが、モデル末期だったデイズルークスと合計した2019年度の届け出台数は15万4881台だ。対前年度比は11%の上乗せに留まった。

 2019年7月に登場したN-WGNも残念だった。パーキングブレーキの不具合によって生産が休止され、2019年の後半はほとんど届け出されていない。以上のように新型車の販売が滞った影響もあり、軽自動車の届け出台数は、2019年10月に実施された消費増税を補えるほどの水準にはならなかった。

 そのために2019年度はマイナス3.5%となった。2020年度が5.3%減少したのは、コロナ禍によるところが大きい。小型/普通車は8.9%と大幅な減少になったから、軽自動車の販売比率は前述の38%に向上した(前年度は37%)。それでも軽自動車の届け出台数自体は5.3%減ったのだ。

 人気車の伸び悩みも影響した。N-BOXは発売から3年を経過して、コロナ禍の影響もあり、届け出台数が消費増税のあった2019年度に比べて20%下がった。軽自動車の届け出台数2位はスペーシアだが、これも9%下がっている。

 3位は前述の販売不振が問題視されるタントで、2019年度に比べて26%減少した。2020年度のタントの売れ行きは12万8218台だから、先代タントがフルモデルチェンジを控えてモデル末期だった2018年度の14万2550台と比べても10%少ない。

 新型の売れ筋車種がこのように伸び悩むと、軽自動車市場全体に与える影響も小さくない。

 このほかムーヴは2014年の発売とあって、2021年にはフルモデルチェンジが予定され、ムーヴキャンバスと合わせて15%減った。ミライースやワゴンRも16%、アルトもアルトラパンと合わせてそれぞれ15%減少した。

日産のルークス ハイウェイスター。2020年3月にフルモデルチェンジされ、販売台数を増やしている
日産のルークス ハイウェイスター。2020年3月にフルモデルチェンジされ、販売台数を増やしている
スズキのハスラー。2020年1月にフルモデルチェンジした。好評だった初代ハスラーの個性的なデザインを踏襲しながら、機能性を向上させている
スズキのハスラー。2020年1月にフルモデルチェンジした。好評だった初代ハスラーの個性的なデザインを踏襲しながら、機能性を向上させている

 その一方で、新型車ではルークスやハスラーの売れ行きが伸びた。N-WGNも生産が再開されて届け出台数を増やしたが、軽自動車市場全体で見ると、コロナ禍による減少を補えていない。

 以上のように、消費増税、さらにコロナ禍と、軽自動車を含めたクルマの販売には受難が続いた。これからの2021年度は、再び売れ行きを伸ばす段階に入る。それでもN-BOXやスペーシアは、ほぼ上限に達していると見るべきだ。

次ページは : ■今後の軽販売はどうなる?

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