■今後の軽販売はどうなる?
今後の伸びが期待されるのは、2021年に新型に切り替わる予定のムーヴやアルトになる。
なお2021年2/3月の軽自動車販売ランキングでは、1位がN-BOX、2位はスペーシア、3位はタント、4位はルークスと続く。この上位4車は、すべて全高が1700mmを超えるスーパーハイトワゴンだ。
今はこのタイプが軽乗用車全体の約50%を占めるが、すべての軽自動車ユーザーが、スーパーハイトワゴンの広い居住空間や荷室、スライドドアを必要とするわけではない。
特に価格の割安感、燃費性能、動力性能、走行安定性を考えると、全高が1600~1700mmに収まるムーヴ、ワゴンR、N-WGNなどが機能のバランスに優れ、合理的でもある。
また2名以内の乗車で街中を中心に使うのであれば、全高を立体駐車場が利用しやすい高さに抑えたアルトやミライースが実用的で買い得だ。燃費もさらに優れている。
今は軽自動車の価値観がスーパーハイトワゴンに偏っているから、売れ行きが伸び悩んでいる面もある。軽自動車には、SUVなどを含めてさまざまなタイプが用意されているので、今後はその多様性、世界観の広さを効果的にアピールする必要がある。
同時に軽自動車の販売比率が38%まで高まったことを考えると、小型/普通車の販売促進も大切だ。2020年度には、国内で売られたホンダ車の54%、日産車の44%が軽自動車で占められた。
クルマにはさまざまな価値があり、楽しい商品がたくさんあることを、もっと訴求してほしい。今の状態が続くと、軽自動車の人気が下がったら、国内販売全体が沈没してしまう。
また、2030年に東京都、2035年に日本国内の純ガソリン車の新車販売が禁止されることになっているが、当然、軽自動車も対象で、ハイブリッドやEVではないと新車販売できなくなる。
軽自動車も変革を迫られている。しかし、ハイブリッドやEVの軽自動車となると、魅力の1つである価格の安さがほぼなくなってしまう。軽自動車は今以上に厳しい時代に入っていくだろう。
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