■見せ場のレースシーンの疾走感はまさにスピードレーサー
もちろん、スピード感はまさに“目にも留まらぬ速さ”で想定時速は650キロ! 何とF1の倍以上! 普通の実写映画では絶対に再現できないレースシーンになっているのだ。
というのもこの作品、役者は実写、そのほかはデジタルというハイブリットな構成。ロケーションは少なく、60日間スタジオにこもって撮影したという。
ウォシャウスキー兄弟はこのハイブリットなカーアクションを「カン・フー」をもじって「カー・フー」と名付けた。曰く「本作の極端なモーター・スポーツは、格闘技とF1をアクロバティックにブレンドさせたものだから」。
つまり、車VS車の格闘技というわけだ。
そのカー・フーで大活躍するのは、スピードが駆る流線形の白いマッハ5号。これがほぼアニメ通りのデザインになっていて、特殊装備を起動させるボタン付きのハンドルもほぼ同じ。
加えて、映画には赤い「M」のロゴと白の車体はそのままに、攻撃的なデザインかつパワフルになったマッハ6号も登場し、より過激なカー・フーを見せてくれる。
■アニメ版の持つインターナショナル感に改めて感心
そして、ファンがもっとも嬉しくなるのはエンディングのクレジットかもしれない。さまざまなリズムでアレンジされた主題歌が、オンエアされた国の言語、英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語で流れるのだが、その最初がオリジナルの日本語なのだ。
これは懐かしい。海外でオンエアされる場合、主題歌そのものも変更されることの多い日本アニメだが、本作の場合は歌詞を変更するだけで、ほぼそのまま使われた。主題歌もインターナショナルな魅力があったことがよくわかる。
余談ながら、タツノコプロ創立40周年の02年には、それを記念して全日本GT選手権GT300にチームマッハが参戦。白いボンネットに「M」の赤いイニシャルが輝く、アニメのマッハ号に模したモスラーMT900Rを走らせた。
このときのドライバー、松井保孝はレースのエントリー名を「三船剛」にするという念の入れよう。以来、チームマッハは日本のレースシーンに欠かせない存在へと成長していったのだ。
時代を超え、国境を越えて愛される日本のアニメーションの、そのひとつの証明となるのが『スピード・レーサー』。アニメと実写、比べてみるのも楽しそうだ。
●解説
世界一のレーサーを目指すスピード・レーサー。彼を支えるのはレーシングカー設計者の父親と優しい母、お菓子大好きの弟とチンパンジーのチムチム。そして、ガールフレンドのトリクシーだ。そんな彼をカーレース界の大物がスカウトしようとするのだが。
ラリー&アンディのウォシャウスキーが「兄弟」だったときの最後の監督作が本作。ふたりはこの後、ラナ&リリーの姉妹となったことは有名だ。
『マトリックス』はさまざまな人種が入り乱れていたが、世界中のレーサーや車ファンが集まるという設定の本作でもあらゆる人種が登場。現場ではあらゆる言語が聞こえてきていたという。そのなかで日本語を喋っていたのは真田広之。武者モーターズという日本の車カンパニーのオーナー役で出演している。
車とは関係ないが、スピード一家のもとに送り込まれるニンジャのキーホルダーに『らんま1/2』の人気キャラPちゃんが。もしかしてウォシャウスキー兄弟、『らんま1/2』のファンなんだろうか?
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『スピード・レーサー』デジタル配信中
ブルーレイ 2,619円(税込)/DVD 1,572円(税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
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