■限られた予算でGT-Rに匹敵する走りを目指した
GT-Rは、2Lの直列6気筒DOHC4バルブエンジンを積むことが開発者やファンの間では暗黙の了解となっている。だが、当時の日産にはDOHC4バルブの6気筒エンジンはなかった。
新設計すればいいのだが、排ガス対策に多額の費用を投じたため、開発する予算はない。そこで苦肉の策として、既存エンジンをベースに直列4気筒DOHC4バルブエンジンを開発することにした。
開発に着手した6代目スカイラインは、コスト低減のために4気筒モデルも6気筒エンジンを積む2000GTもホイールベースを同じにし、ボンネットの長さも揃えている。だから4気筒でもオーナーは胸を張って乗ることができるだろう。パワーユニットの選択肢は2つだ。
ひとつは、日産が商用車に搭載しているタフなH20型4気筒OHVをベースにDOHC4バルブ化することである。もうひとつは旧プリンスの設計陣が手がけたG20型4気筒SOHCを使うことだ。この2つのなかからH20型が選ばれた。
■R30型発売時に直4エンジンのRSを設定
6代目は1981年8月に正式発表されている。型式はR30だ。今までの系統と違う型式を与え、外観の差別化も最小とした。伝統のサーフィンラインもない。キャッチフレーズは「ニュー愛のスカイライン」だ。イメージキャラクターには、レース好きとして知られる俳優のポール・ニューマンを起用している。
4気筒エンジンを積む「TI」は1.8LのZ18S型と2LのZ20E型を積む。2000GT系は熟成されたL20型直列6気筒SOHCで、自然吸気エンジンとパワフルなターボを設定した。また、直列6気筒ディーゼルもある。
そして同年10月に真打ちがベールを脱いだ。新たな伝説を生むために送り出された硬派のスポーツモデルは「2000RS」を名乗った。4気筒エンジンを積んでいるためGTのネーミングは与えられなかったが、紛れもなくスカイラインのイメージリーダーだ。
言うまでもなく「RS」はレーシング・スポーツの意味で、型式は「DR30」になる。エクステリアは、3本スリットのフロントマスクや専用のアルミホイールが目を引いた。セダンRSは「羊の皮を被った狼」そのものである。
搭載するのは「FJ20E型」と名付けられた直列4気筒DOHC4バルブエンジンだ。世界初となる気筒別順次噴射方式のシーケンシャルインジェクションや電子式エンジン集中制御システムのECCSを採用した。
燃焼室は高効率のペントルーフ型、カムカバーは鮮やかなレッドの結晶塗装としている。特徴のひとつは、レース界を席捲していたBMWの「M12」エンジンを意識してボアとストロークを決めたことだ。ボアは89.0mm、ストロークは80.0mmで、総排気量は1990ccになる。
最高出力はグロス150ps/6000rpm、最大トルクは18.5kgm/4800rpmと、当時の2Lエンジンとしては最強だった。トランスミッションは2速ギアをハイギアード化した5速MTを組み合わせている。
サスペンションはフロントがマクファーソンスストラット、リアはセミトレーリングアームの4輪独立懸架で、減衰力を2段階に切り替えられるフットセレクターを標準装備した。
タイヤは195/70R14サイズのミシュラン製ラジアルタイヤが標準だ。だが、60偏平タイヤが解禁となったため、1982年10月に15インチの60タイヤに履き替えている。
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