規定の細かいハイマウントストップランプ
こちらも照射部をコンパクトに仕立てられることでLED化が進んでいるハイマウントストップランプ(補助制動灯)は、2006(平成18)年以降に製造された車両に義務づけられ、制動灯の第39条とともに第43条に定められている。当然ながら、尾灯と兼用でないことや、制動灯が作動する場合のみ点灯する構造であることが定められている。
照射範囲については、「水平面から上方10度の平面及び下方5度の平面」「(左右)10度の平面」とされ、照明部の下縁の高さが地上から85cm以上または後面ガラスの最下端の下方15cmより上方に、照明部の上縁を含む水平面以上となるように取り付けられていることと、かなり細かく規定されている。
補助制動灯の照明部の中心は、車両中心面(“面”の表現は漠然としていて、車両の中央あるいは中心の軸というべきだろう)上にあること。
ただし、自動車の構造上、その照明部の中心を車両の“中心面”に取り付けることができない場合は、 照明部の中心を車両後部の“中心面”から15cmの間に取り付けるか、中心面から両側に1個ずつ取り付けることができるなどとある。
デザインと安全性の二兎を追うLED化
さて、法律上の定義はさておいて、現実のLEDランプの眩しさについて、光の強さを定義する光度を目安として探ってみよう。
車両後部に灯火類を設置する方法としては、リアサイドボディの後端部(車両後部の後続車両から視認できる部分)とトランクリッドもしくはテールゲートに装備するわけだが、ボディ側のみに設置する場合とボディとリッド部分に組み合わせて設置する場合があるのは周知の通り。
リッド側に反射材を組み合わせている場合(後付け仕様も多く見られる)もあるが、アフターパーツとして機能よりもファッション性に重きが置かれていることも多い。
LEDをリアランプに使用するメリットとしては、光源にLEDを用いることで、従来の白熱電球タイプに比べて、省電力と長寿命を実現することだ。
なにより応答性の高さを利して、後続車からの認知度を高めて安全性向上に寄与する。見栄えについても、LEDの発光の仕方やランプ全体の構造を工夫することで、従来とは異なる目新しいデザインも見られるようになった。
最近ではアウディの上位車種では曲げ加工が可能な有機ELを採用して、立体的なデザインを成立させている例もあるなど、LEDランプがランプのデザインに広がりをもたらしている。
LED化のデメリットとは?
それではリアランプのLED化のメリットに対して、デメリットはないのだろうか。前表のように、光度のイメージが電力消費を示すワット数ではイメージできないので、昼間走行灯(デイタイムランニングライト)の基準をからめて考えてみると、DRLの保安基準では光度は400カンデラ以上から1440カンデラ以下とされている。
ということは、LEDのブレーキランプが、日差しで効果が弱まっている昼間でも眩しく感じることがあるデイライトに近い光度で光っている場合があることになる。
先に触れたとおり、LEDランプを眩しく感じる要因になる指向性の高さは、現実には「慣れればOK」というレベルを超えているように思える。
特に夜間に先行車両がブレーキを頻繁に作動させるような場合には、LEDのブレーキランプが白熱球よりも素早く反応することは追突など事故防止に有効なのはわかるとはいえ、多くのLEDヘッドランプと同様のレベルでの明るさが煩わしく感じられるケースもあるはずだ。
たとえば、大型のリアコンビネーションランプでは、ブレーキランプを周囲の上部に線状に配置したり、横方向に長いデザインを施すなど、面積を抑えつつ視認性を高めるなどの工夫はなされているとはいえ、高い機能と裏腹な部分があって難しい。
多くの高級ブランドのモデルが、LEDヘッドランプに眩惑を抑えるために配光を自動的に変更する機能を採用する例はあれど、見栄えという商品性を考慮しても、LED化されたリアランプにもデザインや機能に関して、実際の路上で利用するにはまだまだ工夫の余地がありそうだ。
LEDランプのデザイン処理の手法は様々だ。最近では多くのLEDランプを装着したうえで、ボディとゲート部分の継ぎ目に電球を追加して、マットな感覚を生み出しているモデルも出てきている。
コメント
コメントの使い方LEDは省電力化できるのがメリットですが、点光源なので逆光時や降雪時にはデメリットとなります。
保安基準内でLED個数を増やしたところで点光源には違いないので、霧の中では光が拡散されるだけです。
LED表面には熱が発生しない為、走行中に付着し続ける雪を溶かすことはできません。
メーカー技術者は、「誰が為の安全か?」と言うことを基本に立ち返ってみるべきでしょう。