霧でもないのにリアフォグを点けるな!
最後に最近やたら、霧や雨で前で見えにくいわけでもないのに首都高速道路などでよく見かけるリアフォグランプを点灯しているクルマ。
リアフォグランプという名前の通り、この灯火器は濃霧(フォグ)の時に使用することで、後続車に自車の存在をアピールするためのものだ。
欧州では濃霧が発生する地域も多く、追突事故を防ぐために1980年代後半あたりから搭載されるようになってきた。
夜間に視界が良いにもかかわらず、リアフォグランプを点灯させているドライバーのなかには、「リアフォグについての規定はないので、法律上は違反行為とならない」と思っている人もいるのかもしれない。
確かに道路交通法第52条の車両等の灯火では「2:車両等が夜間(政令等で定める場合は夜間以外も含む)他の車両と行き違う場合または他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない」とされている。
これはハイビームで周囲のクルマに迷惑をかけないよう規定されているものだ。後続車に対する配慮は含まれていない。だが、道交法で定められているその他の条項には、晴天時のリアフォグランプの使用が抵触するものがあるのだ。
道交法に限らず法律には本則だけでなく、様々な細かい規則を定めるための附則というものがある。道交法第76条の「禁止行為」では道路上で行なうことを禁止する様々な危険な行為、迷惑行為を定めている。
この本則には抵触しないものの、各都道府県の道路交通法施行細則または道路交通法施行規則には、「みだりに車両等の運転者の目をげん惑するような光を道路に投射すること。」という条項がある。
これは後続車の運転者に対しても適用することができるので、後続ドライバーの目を幻惑するリアフォグランプを必要性のない状態で点灯していれば、この法律に抵触する。
実際にはハイビームのままで走行しているドライバー同様、リアフォグランプを点灯したまま走行していて、交通取締りに遭ったという話は聞かない。
それは違反しても軽微な場合、警察官が取り締まることがほとんどないからだ。しかし、シートベルトや、ながら運転を取り締まっている状況もあるのだから、ハイビームやリアフォグランプも取り締まって(せめて注意は)ほしいものである。
それにもし追突事故が起こって、追突した後続車のドライブレコーダーに、前走車のリアフォグランプが点灯していることが記録されていたら、それが事故を誘発した要因の1つとして、前走車のドライバーの責任が重くなることは確実だ。
ただし、ドラレコを装備しているからといって、リアフォグランプを点灯させたクルマの後ろを追従して走行を続けるのは危険だ。
対処法としては、車間距離を思い切り長くとること。リアフォグランプはレンズの仕様により、特定の距離にいるドライバーに強く存在をアピールするようになっているので、極端に近付いたり離れたりすれば、眩しさからは開放される。
日本国内で販売されている国産車のなかで、リアフォグランプが装備されているのは、SUVやスポーティなクルマに多い傾向がある。
どちらも山や峠道など濃霧が発生しやすい地域を走行する機会が多いことを想定しているのだろう。
SUVの多いスバルのほか、マツダ車は4WDのみに採用し、スズキは上級グレードだけに標準装備。またライズやロッキーの上級グレードに標準装備されるが、ヤリスクロスやハリアー、RAV4はメーカーオプションとなっている。
またレクサスLXは標準装備となるが、UX、NX、RXは寒冷地仕様のメーカーオプション(2万6400円~)としてリアフォグランプが設定されているなど、SUVでもメーカーによって採用基準が異なっている。
このように日本で販売される国産車にもリアフォグランプ搭載車が増えているのは、安全性を高めるためと世界基準で生産していることが影響しているといえそうだ。今後はますます搭載車は増えることだろう。
リアフォグランプをみだりに使用せず、必要な時にはしっかりと点灯させて後続車と自分の安全を高めるために利用するよう心がけよう。
コメント
コメントの使い方LEDは省電力化できるのがメリットですが、点光源なので逆光時や降雪時にはデメリットとなります。
保安基準内でLED個数を増やしたところで点光源には違いないので、霧の中では光が拡散されるだけです。
LED表面には熱が発生しない為、走行中に付着し続ける雪を溶かすことはできません。
メーカー技術者は、「誰が為の安全か?」と言うことを基本に立ち返ってみるべきでしょう。