■キャデラック CTSの中古相場と欧州勢との比較
お次はキャデラック CTSである。
2014年4月から2020年7月まで販売された直近のキャデラック CTSはEセグメント、つまりメルセデスベンツ Eクラスあたりと同格となるモデル。これまた欧州勢に引けを取らない作りとビジュアル、そしてオーラを有する一台だ。
本国には3.6L V6搭載車も存在したが、日本仕様の搭載エンジンは最高出力276psの2L直4直噴ターボ。新車時価格は599万~699万円だった。
そしてATS同様、CTSにもハイパフォーマンス版の「キャデラック CTS-V」が存在する。こちらは最高出力649psのスーパーチャージャー付き6.2L V8OHVで、0-60mph加速は実に3.7秒。新車時価格は1330万~1470万円で、こちらの仮想敵はBMW M5またはメルセデスAMG E63ということになるはずだ。
で、キャデラック CTSの中古車相場は、競合であるメルセデスベンツ E250と比べてどうなのか、見てみることにしよう。
……こちらCTSも、メルセデスベンツの類似クラスとの明確な価格差はないというか、先代のE250との比較では「ベンツEクラスのほうが若干安い場合もある」という調査結果になった。
これはATSの場合と同様、先代メルセデス・ベンツE250は流通量が多い分だけ粗悪な個体や過走行物件も多いことが、相場の下限を低くしているということだ。
しかし2016年途中からの現行型メルセデス・ベンツE220(の前期型)と比較しても有意な価格差はさほどなく、またハイパフォーマンス版であるキャデラック CTS-V(750万~960万円)と、メルセデスAMG E63(740万~940万円)の比較においても、それは同様であった。
つまり「マイナーだから中古車はけっこう安いんじゃないか?」というゲスの勘ぐりをしてしまったキャデラック CTSだが、その中古車相場は意外とというか、プライドをもって「キープ」されていたのだ。
となると、今回研究したキャデラックATSまたはCTSの中古車をあえて選ぶ意義は薄くなる……かというと、そんなこともない。
この2モデルの本質的な魅力とは、筆者がゲスの勘ぐり的に調査した「価格」にあるわけでなく、その硬派な走りとスタイリッシュな造形、そして、繰り返してきたとおりの「希少性」にある。
そして、「でも同クラスのベンツやビーエムよりずいぶん高いのです」というならさておき、ATSおよびCTSの相場は、欧州の競合たちと「だいたい同じぐらい」ではある。
であるならば、「猫も杓子も」といったフレーズが似つかわしい有名ドイツ車ではなく、ややレアなこのアメリカ車を選ぶのが、カーガイ的にはシブいのではないだろうか――と思う次第である。
なお、メンテナンスの面においても「アメ車=壊れる」などというのは過去の話であり、ATSやCTS、あるいはそれ以降の世代のキャデラックであれば「ごく普通」である。つまり、特に大きな不安はないということだ(輸入車なので、パーツ代とかは国産車よりずいぶん高いですが)。
さらに余談にはなるかもしれないが、キャデラックのなかではもっとも人気が高くてもっとも流通量が多い4代目のエスカレード(2015~2020年)は流通量豊富で、現在の中古車相場は500万~1380万円といったところ。
こちらも、メルセデス・ベンツGクラスなどの超メジャーSUVでは飽きたらなくなった人は、ぜひ注目してみるべき一台といえるだろう。
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