■トヨタ ルーミーに勝っている「スズキ ソリオ」
2014年には先代ハスラーの発売により、スズキとダイハツの軽自動車販売合戦が激化した。小型車から軽自動車への乗り替えも進み、同年には国内で売られた新車の41%が軽自動車になった。
小型/普通車が中心のトヨタでは、売れ筋の軽自動車となるN-BOXやタントに対抗できる商品が必要と判断した。
そこで大急ぎで開発されたコンパクトカーがルーミーとその姉妹車だ(タンクは2020年に廃止)。軽自動車の販売が激化した2014年に開発を開始して、2年後の2016年に発売されている。
開発期間が短かったので、ライバル車のスズキソリオに比べると、見劣りする機能が多い。室内空間では、ルーミーは後席の座り心地が悪い。床と座面の間隔も不足気味で、足を前方に投げ出す座り方になる。座面の柔軟性も乏しい。
自然吸気エンジン同士だとルーミーのエンジンは直列3気筒1Lで、4気筒で1.2Lのソリオに比べると動力性能が低い。車両重量はソリオの売れ筋グレードが1000kg、ルーミーは1080kgと重いから、加速力に不満が生じて3気筒のノイズも粗く聞こえる。ソリオであれば走りに余裕がある。
ルーミーには1Lターボも用意されていて、こちらでは動力性能の不満は解消するが、2000~3000回転の常用域でノイズが気になる。2020年の改良で少し静かになったが、依然として粗さは残る。
ルーミーのプラットフォームはパッソと共通で、想定される車両重量は900~950kg程度だ。ルーミーの車両重量は2WDでも1080kgだから、ボディが重く、走行安定性や乗り心地にもよくない影響を与えた。さまざまな機能において、ソリオのバランスが優れている。
■トヨタ ヤリスクロスに勝っている「ホンダ ヴェゼル」
両車ともにコンパクトなSUVだが、インパネの周辺など、内装のつくりはホンダのヴェゼルが上質だ。ヤリスクロスのインパネはヤリスと同じ形状だが、ヴェゼルは独自に作り込んだ。質感はミドルサイズのSUVに近く、上級のCR-Vをも上まわる。
居住性もヴェゼルが快適だ。前後席ともに座り心地はヤリスクロスよりもしなやかに仕上げた。後席もヴェゼルが広い。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は、ヤリスが握りコブシ1つ半でヴェゼルは2つ半になる。
荷室も同様だ。ヴェゼルは燃料タンクを前席の下に搭載するから、荷室の床が低い。後席を小さく畳むと大容量の空間になり、後席の座面を持ち上げると車内の中央に背の高い荷物を積める。
ヴェゼルの最上級グレードになるe:HEV・PLaYは、納期が長く2021年5月の契約で納車は3月以降だが、パノラマルーフなど独自の装備を採用している。装備の選択肢もヴェゼルが多い。
■トヨタ ハリアーに勝っている「マツダ CX-8」
トヨタのハリアーハイブリッドG(2WD)の価格は400万円。ライバル車となるマツダのCX-8にクリーンディーゼルターボを搭載するXDプロアクティブは382万8000円だ。
ハリアーは内外装が上質でノイズも小さいが、動力性能はCX-8のディーゼルが優れている。低回転域では4.5Lのガソリンエンジンに匹敵する駆動力を発揮する。
スポーティに走らせた時の走行安定性もCX-8が勝る。車両重量は1800~1900kg(2WD)と重いが、操舵角に応じて正確に曲がる。
居住空間はCX-8が広く、全車に3列目のシートを装着した。CX-8の3列目は、SUVでは最も余裕がある。片道45分程度の距離であれば、大人の多人数乗車も可能だ。3列目を畳めば広い荷室になり、CX-8は上級SUVでありながら実用性も優れている。
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