■トヨタ アルファードに勝っている「ホンダ オデッセイ」
アルファードは2020年度に10万6579台を登録したが、オデッセイは1万1941台だ。オデッセイはアルファードの11%しか売れていない。ところが機能を比較すると、オデッセイの優れたところが多い。
オデッセイで最も注目すべきは、アルファードと同じように床を平らに仕上げながら、床面地上高を約100mm低く抑えたことだ。そのために乗降性が優れている。アルファードのようにサイドステップ(小さな階段)を使って乗り降りする必要がない。
3列目シートの座り心地もオデッセイが快適だ。アルファードは床が高いために、座面との間隔が不足して、足を前方に投げ出す座り方になる。その点でオデッセイは、床と座面の間隔が適度で着座姿勢も良好だ。つまり多人数乗車時の総合的な快適性は、アルファードよりもオデッセイが優れている。
しかもオデッセイの3列目シートは床下格納だから、スッキリと広い荷室に変更できる。左右跳ね上げ式のアルファードと違って、荷室に3列目のシートが張り出さない。
床を低く抑えたから、必要な室内高を確保したうえで、2WDの全高を1695mmに抑えられた。アルファードの1935~1950mmに比べると250mm前後は低い。そのためにオデッセイは、ボディが軽くなって重心も下がった。動力性能、走行安定性、燃費性能などに優れた影響を与えている。
ちなみにアルファードも現行型でプラットフォームを刷新したから、オデッセイのようなクルマに仕上げることも可能だった。それをしなかったのは、売れゆきを伸ばすためだ。
アルファードは、厚みのあるフロントマスク、背の高い存在感の強いボディスタイル、乗員が周囲を見降ろせる感覚を重視したから、機能はオデッセイに劣っても登録台数では上まわる。オデッセイとアルファードには、ホンダとトヨタの考え方が色濃く反映されて、興味深い比較になっている。
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