■まさかの「ちゃぶ台返し」もあり得る!?
とまぁ、今回のホンダの「脱内燃機関宣言」にはさまざまな批判が多いのだが、ちょっと注目なのは質疑応答における三部社長の「ナマの声」が、格調高いこの宣言とだいぶトーンダウンしていることだ。
そこでは、バッテリーの供給をはじめ課題はまだたくさんあるとか、魅力的な商品が供給できるか否かで普及度がだいぶ変わるとか、E-Fuel(カーボンニュートラルな合成液体燃料)を使ったエンジンはあり得るとか、「あくまでも目標達成に向けて前向きに取り組んでいく覚悟を述べた」という本音があけすけに語られていて、そっちのほうがぜんぜん説得力があるのだ。
まぁ、われわれ外部のジャーナリストですら「ちょっと厳しいのでは?」と思うくらいだから、内部では侃侃諤諤の議論があったのは想像に難くないわけで、それでも「今はこの宣言をしておいたほうがいい」というのが、今回の社長就任会見における「脱内燃機関宣言」だったのではないだろうか。
だから、ぼくは個人的にはこの宣言がひっくり返る可能性もあると思っている。
「天下のホンダが世界に公約した以上、その約束を違えるなんてありえない」。そう思う人も多いだろう。でも、大きな変革にはわかりやすいスローガンが必要だが、達成した後、それがなかったことになった例は珍しくない。
「尊皇攘夷」を掲げて徳川幕府を倒したのに、明治政府が「攘夷」をなかったことにしてむしろ積極的に西洋社会にコミットしていったのなんかその典型。「尊皇」をCO2削減とすると、「攘夷」はさしずめ内燃機関廃止。「維新後」にどうなるか、まだまだ流動的のように思える。
いずれにせよ、地球温暖化防止が環境政策のキモと世界的に決まった以上、自動車業界はそれに対応する以外の選択肢はない。
まずは、2030年にEV/FCV比率20%としたホンダの公約の第一段階。その達成過程を見守りたいと思います。
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