どこまでできる? やってはいけないクルマのセルフメンテナンス!

どこまでできる? やってはいけないクルマのセルフメンテナンス!

 前回、本webサイトでクルマを長生きさせたい! 達人が教える「自分でできるメンテナンス術」というテーマで、「常に愛車のコンディションを知ろう」「愛車専用のメンテナンスノートを作って定期的に点検、整備しよう」、「労わって愛車を運転しよう」とお伝えしました。

 こうした日々の積み重ねで愛車の機械的、金銭的な負担を減らすことができれば、いざという時に大掛かりな整備もできるし、ドレスアップやチューニングにもお金を回せます。

 しかしながら誰でも「そうはいっても、どこまで自分でメンテナンスしていいの?」と疑問に思うはず。

 そこで今回のテーマ、「やってはいけないクルマのセルフメンテナンス!」ということで、「ココはプロにお願いしよう」という判断基準や、自分でやるにしても「落とし穴に気を付けろ」という点について、いまではとても貴重な存在といえる現役ベテランメカニックに、プロのノウハウを聞いてきました。

 ちなみに池畑氏の簡単なプロフィールですが、約30年にわたりVWに勤務し、現在は自動車事故調査資格のボッシュCDRアナリストになられています。

クルマを長生きさせたい! 達人が教える「自分でできるメンテナンス術」


文/池畑浩
写真/池畑浩 ベストカーweb Adobe Stock

【画像ギャラリー】東京・東久留米にガレージを構える整備工場「オートクリニック」さんの秘蔵写真!!


プロとアマチュアの線引きは?

筆者とオートクリニックの小嶋英俊社長

 「自分でクルマいじりする時、これはやっちゃダメっていうのはありますか?」とストレートに尋ねると、開口一番、「当たり前のことだけどさ、クルマのことは良く分からない、ちゃんと整備したいという人は、オレたちプロに任せてよ」と自信たっぷりに胸を張るのは、西東京は東久留米市にある自動車認証工場「オートクリニック」の小嶋英俊社長だ。

 人は外見で判断するなと言う格言の通り、小嶋社長率いるオートクリニックは外観こそ古びた街の整備工場だが、その内情はとんでもないクルマ工房。そこはまさしく長年に亘って積み重ねてきた豊富な自動車整備の経験と知識、磨き上げてきた高い技術力が自慢の整備工場だ。

専用工具やテスター、調整などが必要な箇所はプロに任せよう

オートクリニックさんの工場内

 クルマのメンテナンスに関する基本的な考え方を整理しておくと、いうまでもなく専用工具やテスターが必要だったり、調整が必要な修理、点検については、これはもうプロにお任せしたほうがより安心、安全だ。

 小嶋社長は「ブレーキホースもそうだけどさ、ゴム系部品の交換時期とか目視で判断できないでしょ」と、いきなりハードルが高い。

 たしかにゴム系部品に限らず、部品の寿命を目視や触診で判断するのは整備経験の少ない素人には無理だ。そこで気を取り直して、自分でできるいくつかのメンテナンスを例に挙げて注意点を聞いてみた。

■ブレーキ関連

池畑氏所有のビートルのブレーキシューを自らが整備した時のもの

 「ブレーキは重要保安部品だからプロに任せてほしいな」。「そういやこの前、自宅の前でブレーキ交換してたじゃん。なんだ自分でできるんだって思ったよ、ハッハッハ」と小嶋社長。

 すかさず「素人整備なんで、たまに右後ろのシューを引きずるんですよ」と返すと、「ブレーキシリンダーのピストンがサビて戻りが悪いんだな。カップ外さなくていいからグリス差しときなよ」と有難いアドバイス。

 「グリスもブレーキに使っちゃダメな種類があるからね」と見せてくれたのはシリコン系のスプレーグリスだった。

 ちなみに国内大手自動車用ブレーキメーカーによれば、ブレーキパッドとローターの交換時期は走行距離や使用状況によって異なるが、パッドは新品の半分(5mm)以下、ローターはパッドとの接触面がレコード盤のようになっていたり、深く削れている場合には交換を推奨している。

 ディスクローターやドラムの溝は研磨して再使用できるが、正しくはローターやドラムの使用限界値(メーカー、仕様によって異なる)の範囲内か否かを実測して判断しなければならない。

 こうした見極めは経験が無いと難しい。ディスクブレーキのように比較的簡単に交換できても、ドラムブレーキの場合は構造が複雑なうえ、シューの面取りやドラムとの擦り合わせやアジャスターによる調整が必要になる。なるほど小嶋社長の言う通り、ここは迷わずプロにお任せしたほうが安全だ。

■ブレーキフルード

ブレーキフルードのチェックは、ブレーキリザーバータンク内の液量が規定の範囲(MAXとMINの間)にあるかを点検。 ブレーキ液の減りが著しい時は、ブレーキ系統からの液漏れやブレーキパッドなどの摩耗が考えられるので整備工場へ依頼して原因を突き止めよう

 一般的なクルマにはグルコール系のブレーキフルードが使われているが、この取り扱いには注意が必要だ。万が一、ボディなどの塗装面にブレーキフルードを垂らしてしまったら、すぐに大量の水でよく洗い流そう。そのまま放っておくと、ブレーキフルードが塗装の中に浸透し、塗装を膨らませてしまう。

 またブレーキフルードの交換作業も専用ツールが無い場合、最低2人必要なので、自分で交換する場合は専用工具を用意するか、プロのアドバイスを受けられる環境で行うほうが確実だ。

■ATフルード

 ATフルードもエンジンオイル同様、その交換時期の判断は素人には難しい。敬愛するベテランメカニックの師匠によると「2.5万㎞ごとにフィルターと一緒に交換して、バルブボディなども清掃したほうが良いね」と教えてくれた。

 また「走行距離に関係なく、変速ショックが大きくなったり、違和感を感じたら、すぐその症状をプロに伝えて対処してもらうのがベストだよ」とも言っていた。

 クルマに心得がある人でもATフルードやフィルターを交換する際は、ゴミや埃の侵入に気をつけるべきだが、繊細な制御系部品なので、ここは素直にプロにお任せした方が間違いない。

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