クルマは乗ることが楽しい乗り物ですが、メンテナンスをおこなうこともこれまた楽しいものです。洗車してキレイになったクルマを見ていると楽しいのと同じで、自分でメンテナンスすることによってクルマの調子がよくなるのはなんとも気持ちのいいものです。
クルマのメンテナンスというと、真っ先にエンジンオイル交換を思い浮かべる方も多いと思いますが、クルマが電動化されるとエンジンオイル交換はなくなります。クルマの電動化は私達からメンテナンスという楽しみも奪ってしまうのでしょうか?
文/諸星陽一 写真/NISSAN、Adobe Stock、HONDA
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エンジンがなくなると消えるメンテナンス項目も
たしかにエンジンがなくなれば、エンジンオイル交換やプラグ交換、エアエレメント交換などエンジンに関わるメンテナンスはなくなります。
また、現行のEVシステムを考えるとトランスミッションも存在していないのでトランスミッションに関係するメンテナンスもなくなるでしょう。
しかし、考えてみて下さい。クルマのメンテナンスはエンジンやトランスミッションについてのみおこなわれるものではありません。サスペンションにしても、ブレーキにしてもまだまだメンテナンスを楽しめる場所は残っています。
EVならではのメンテナンスはないのか? と思っていろいろ探ってみたのですが、なかなか初級クラスのDIYでできることは少ないようです。
たとえばモーターに不具合があるから、モーターを下ろしてオーバーホールしましょうとか、駆動用バッテリーの容量がダウンしてきたから交換しましょう……ということはちょっとDIYの領域を超えています。
では充電口の接触不良などについては? ということもあまりないようで、どうやら現段階でEVならではのメンテナンスを見つけるのはむずかしそうです。
電動化でも「残る」車のメンテナンスは?
しかしEVといえどもエンジン車と共通している部分は多くあります。そうしたことを前提にメンテナンスのことを考えてみましょう。まずは非常に簡単な部分からです。
EVにもエアコンは装備され、エアコン用のフィルターが存在します。クルマのエアコンフィルターは家庭用のように掃除して使うのではなく、交換して使うようになっています。多くはグローブボックスの奥などに設置されています。
エアコンフィルターは1年に1度、もしくは2年に1度程度の頻度で交換するといいでしょう。同様に簡単に交換できるパーツとしてはワイパーがあります。
ワイパーはブレードと呼ばれる金属パーツごと交換する方法と、ゴム部分のみを交換する方法があります。ゴム部分のみを交換しても拭き取りに不満があるときはブレードごと交換するとキレイに拭き取れるようになることが多くあります。これは、ブレードが劣化してガタが出たりしていることが原因です。
エンジンオイルは存在していなくても、システムを冷却するための冷却水(クーラント)は備えています。冷却水はLLC(ロングライフクーラント)と呼ばれるものが使われますが、EVの場合はスーパーLLCと呼ばれる高性能タイプが使われていることが多いはずです。
LLCもスーパーLLCも交換した廃液を下水などに捨てることは禁止されているので、交換時はディーラーや整備工場に依頼することをおすすめします。ただし減っているときは自分で補充できます。
LLCもスーパーLLCもメーカーごとに使っている色が決まっています。LLCは緑か赤、スーパーLLCは水色かピンクです。大切なのは違う色のものを使わないこと。
LLCとスーパーLLCを混ぜるのはもちろんNGですが、スーパーLLC同士でも混ぜてしまうと濁りが発生します。濁ってしまうと、なにかの不具合で濁った際の判断が難しいので濁らないようにすることが大切なのです。
LLCは水道水で希釈できますが、スーパーLLCは精製水で希釈することが推奨(とくに寒冷地)されています。
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