社会問題になっている高齢ドライバーによる事故。その事故対策にはいろいろな取り組みが必要だが、ドライバーにできる方法のひとつが、次の愛車として先進安全装備を搭載する最新モデルに乗ることだろう。
そこで、これから高齢になるようなドライバーなども新車を買い換える時には、「このような機能がついていると安心!」という先進安全装備や、クルマ選びのポイントを紹介していきます!
文/諸星陽一
写真/TOYOTA、NISSAN、SUZUKI、MAZDA、adobe stock
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■高齢者が起こしやすい事故事例のひとつがペダルの踏み間違い
高齢者の運転ミスによる交通事故が報じられるたびに、自分の親は大丈夫か? と思っている人も多いことでしょう。クルマはちょっとした運転ミスが引き金になって、大きな事故につながる可能性を秘めています。
そうしたミスは、なにも高齢者に限って発生するわけではありませんが、高齢者が起こしやすい事故事例もあります。特にペダル踏み間違いは、交通事故分析センター(ITARDA:イタルダ)が行った調査でも高齢者が起こしやすいミスとしてあげられています。
ペダル踏み間違えによって起きる事故は、ブレーキペダルを踏もうとして、間違ってアクセルペダルを踏んでしまうことで起きます。「そんなもの踏み直せばいいじゃないか?」と簡単に言う人がいます。
そうなのです。踏み直せれば多くの事故は防げるのですが、踏み直すことができないので事故に至るのです。アクセルペダルを踏んでいる本人はブレーキペダルを踏んでいるつもりでいるので、「なんで速度が落ちないんだ?」とさらにペダルを踏み続けてしまうのです。
アクセルもブレーキも操作は踏むという行為なので、ペダル踏み間違えを防止するのはかなり難しく、踏み間違いを防止するのではなく、踏み間違えた時にいかにして減速するか? 急加速しないようにするか? という対処療法的な手法で事故防止を行っています。
■ほとんどのクルマが「サポカーSワイド」に適合
そうした安全装備が施されたクルマは「サポカー」と呼ばれます。「サポカー」は「サポカー」と「サポカーS」として分類されています。そして「サポカーS」はさらに衝突軽減ブレーキの機能によって3種に細分化されるのです。
もっとも装備が軽微なものが「サポカーSベーシック」、続いて「サポカーSベーシック+」、もっとも充実しているものが「サポカーSワイド」となります。
「サポカー」は低速(作動速度域が30km/h以下)での衝突軽減ブレーキを装備するクルマが対象となります。65歳以上の人がドライバーとなる場合は、新車の登録車で6万円、新車の軽自動車で3万円の補助金が受けられます。
トヨタのアクアSやLなどにオプションでの衝突軽減ブレーキのみを選んだ場合や、衝突軽減ブレーキしか装備しておらずほかの装備をオプションで追加できないカローラスポーツハイブリッドG“X”、日産キャラバン、ホンダ・シビックハッチバックなどが該当しますが、乗用モデルでの車種はさほど多くありません。
一方、トヨタのジャパンタクシーやタウンエーストラック、日産のNV350、NV200バネットなどビジネス系のモデルには多く存在しています。
「サポカーSベーシック」は低速(作動速度域が30km/h以下)での衝突軽減ブレーキと、ペダル踏み間違い急発進抑制装置を装備するものです。
サポカーSであれば、ベーシックでもベーシック+でもワイドでも65歳以上の方がドライバーとなる場合は、新車の登録車で10万円、新車の軽自動車で7万円の補助金が受けられます。
現在、「サポカーSベーシック」の対象となるモデルは少なく、日産のスカイライン&フーガの一部車種やホンダS660などとなっています。
「サポカーSベーシック+」は対車両の衝突軽減ブレーキと、ペダル踏み間違い急発進抑制装置を装備するものです。
「サポカーSベーシック+」を採用するクルマはスズキのイグニス&エスクード、スバルのインプレッサスポーツ&インプレッサG4&XVのステアリング連動ヘッドランプ+アダプティブドライビングビーム非装着車。
サンバートラック、ダイハツ ハイゼットトラック、トヨタ カローラアクシス&フィールダーハイブリッドEXなどといったところです。
「サポカーSワイド」は対歩行者の衝突被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い急発進抑制装置、車線逸脱警報(車線維持支援装置でも可)、先進ライト(自動切替型前照灯、自動防眩型前照灯又は配光可変型前照灯のこと)を装備するものです。
技術の進歩とともに「サポカーSワイド」の装備を持つクルマが増えてきていて、マツダはOEMモデルを除く自社製造のモデルすべてが「サポカーSワイド」に該当しています。
ほかのメーカーもほとんどのクルマが「サポカーSワイド」に適合していて、現在のクルマ選びはかなり安全性の高いものが選べるようになってきています。
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