国内のセダンの販売台数は、SUV人気に押され年々厳しいものになっているが、こと教習車となると、マツダの『マツダ2』もそうだが、わざわざ海外生産のセダンを教習車にして販売しているくらい、セダン推しとなっている。
SUVが人気で、セダンの乗る人が少なくなった中で、変わらずセダンが教習車として採用され続ける理由とは何なのか? そのナゾについて考察していきたい。
文/高根英幸
写真/MAZDA、TOYOTA、HONDA、Audi、Adobe Stock
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■現在教習車仕様として販売されているクルマは、セダン3車のみ
筆者の自宅の周辺は道路環境が比較的整っており、近くの教習所以外の教習車もよく見かけるが、最近はほとんどがマツダの『アクセラセダン』だ。なぜアクセラなのかと言えば、まずはMTとATの両方が揃っているセダンが少ないことが、大きな理由だろう。今や普通免許用の教習車として販売されているのはトヨタ『カローラアクシオ』とマツダ『MAZDA2セダン』、ホンダ『グレイス』の3車種だけなのだ。
希望者は少ないとはいえ、AT限定免許のためだけに車両を設定する訳にはいかない。そうなると、MTとATでは同じ車種で教習をした方が、生徒には車両感覚が掴みやすくて、上達も速い。そう考えるとたとえ一般ユーザーへのMT車の販売比率は少なくても、教習車用にMT車を用意するのは、なかなかいい戦略なのではないだろうか。
だが今はSUVが圧倒的に人気があり、免許取得後にSUVを購入したり、家族のクルマとしてSUVを運転する機会が多いハズだから、最初からSUVで運転の練習をしたほうが上達が速くて安全なのでは? そう思う人もいることだろう。
実は教習車として使用できるクルマには制限がある。道路交通法で普通免許を取得する際に使用する教習車は車体の大きさが定められている。それは乗車定員5人以上の普通自動車(小型乗用車を含む)で、全長4400mm以上、全幅1690mm以上、ホイールベース2500mm以上およびトレッド1300mm以上となっているのだ。
しかしSUVでも車高が高いだけで、この数値自体はクリアしているクルマも多い。それなら使えるのではないか、と思うかもしれないが、教習の都合でSUVはあまり適さないのである。
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