■続いてi4 M50
続いて試乗したのはMパフォーマンス バージョンともいえるM50で、モデル名に「eDrive」がないのは商標権の問題らしい。なんだかよくわからないが、首尾一貫していないことは確かだ。開発意図はもちろんMパフォーマンスの提供で、すなわち、さらなる敏捷性を持った精緻な走り、そしてモア・エモーションである。
このM50に搭載されるパワーユニットはフロントに190kw(258馬力)、リアには230kw(313馬力)でシステム出力は400kw(544馬力)と795Nmに達する。
ダイナミック性能は0-100km/hが3.9秒、最高速度は225km/hと発表されている。またバッテリーはi4 eDrive 40と同じものだが、消費電力が多いために航続距離は510㎞とわずかに減少する。
エクステリアはICEのMモデルと同様にクローム部分はブラックアウトされ、フロントスカートの両端にはエアカーテン用のスリットを持った大きなダミーグリルが精悍さを増している。またタイヤはオプションのミックスサイズ255/35R20(前)と285/30R20(後)が装着され、サイドビューに緊張感を与えている。
まずは一般道路からスタートしたが、加速そしてハンドリングも先行するペースカー(M5)に劣らないパフォーマンスを発揮し、追従することができた。4WDシステムのトルク配分は明らかに後輪駆動パターンで、アンダーステアは滅多に顔をださない。
M50のスポーティなポテンシャルを引き出すにはクローズドサーキットが一番だが、ここでの挙動はまさにスポーツカーで、とくにハンドリングコースでは驚くほどのロールの少なさでゴーカートに乗っているような気分で楽しめた。
あいにく夕立が襲ってきて、コースはすっかりウエット状態になってしまったが、544馬力+795Nmのパワーはシャーシを統合するMアダプティブ・サスペンションによって巧みに制御され、コースから逸脱することはなかった。
レポーターは人工サウンドをあまり好まないが、このM50に採用されているBMWアイコニックサウンドはなかなかよくできていた。特に加速力が半端でないこのクルマではスピード表示を注意しなければならないが、サーキットで走りに集中しているとスポーツモードで発生する「音」が注意も喚起するので悪くはないと改めて感じた。
最後に、544馬力のi4 M50に乗って感じたことは、ICEが電気にはかなわないという当たり前の事実であった。電気自動車の鋭い加速力は、現在ではホンのわずかな時間だが、内燃機関搭載モデルでは到底追いつくことはできない。
今後、バッテリーの開発が進み、コストが下がり、容量が大きくなればICEの終焉はみるみる近づいてくるに違いない。
このBMW i4は11月から予約注文がドイツ/ヨーロッパで始まり、デリバリーは2022年春から開始されるが、日本への到着は2022年の後半になるだろう。また、現時点ではまだ価格は発表されていない。
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