ひと昔前まで印象悪かったよね!? いつからCVTは確固たる市民権を得たのか

■よくなってきたのは2015年頃!?

トヨタが2018年に発表したダイレクトシフトCVT。発進用ギアの採用で変速比率を15%拡大するなど画期的なもの
トヨタが2018年に発表したダイレクトシフトCVT。発進用ギアの採用で変速比率を15%拡大するなど画期的なもの

 全ての新車に乗っているわけではないので、「何年式のあのモデルから変わった!!」とは、明確に語ることはできないが、自動車メーカーが、「ラバーバンドフィールの改善」に力を入れ、そして、本当にCVTのドライブフィールがよくなり始めたのは、2015年頃の新型車からだったように思う。

 そのころから、どのメーカーのCVT車も、加速時には減速比を固定し、エンジンの回転上昇にあうように加速Gを感じさせるフィーリングへと改善した。

 全開加速時には、あえてステップシフトを入れる制御を採用し、さらには、パドルシフトでドライバーが変速制御するかのようなマニュアルモードを用意するCVTも増えている。

 例えば、2018年に登場したトヨタのダイレクトシフトCVTでは、発進用ギヤを採用したことで、ベルト効率を悪化させることなく変速比幅を15%拡大。また、プーリーを小型化し慣性を40%下げることで変速応答性を向上させている。

 カローラシリーズやRAV4、ハリアー、レクサスUX、そしてヤリスなど、いずれも高い燃費性能と、俊敏なレスポンスで、フィーリングも良い。

 日産は、ジヤトコの副変速機付きCVT「CVT7」の進化版として、2015年から小型FF車用のCVT「ジヤトコCVT7ワイドレンジ」を採用している(レシオカバレッジ8.7)。また、軽自動車専用として、小型軽量かつ低コストとした新たなCVT「CVT-S」も2019年より採用。デイズ(三菱eKも)などへ搭載している。

 ホンダはCVTを自社開発している。1995年発売の6代目シビックにはじめてCVTを搭載して以降、開発を続けている、というのだから歴史も深い。

 早くからCVT特有のクセに対して対策を行い、2012年には北米市場の最重要モデルであったアコードに搭載。CVTのクセを嫌うアメリカ人に、「本当にCVTか?」と言わせたほど、有段ATに近いフィーリングとすることに成功している。

大パワーにも対応したCVTで独自路線をいくスバルのリニアトロニック。WRX S4に搭載されたそれは開発者のエンジニア魂を感じる涙が出てきそうになる完成度の高さ
大パワーにも対応したCVTで独自路線をいくスバルのリニアトロニック。WRX S4に搭載されたそれは開発者のエンジニア魂を感じる涙が出てきそうになる完成度の高さ

 またスバルも、リニアトロニックという独自のCVTをもつ。2009年5月発表の5代目レガシィに、5速ATと並行して、独自開発の「リニアトロニック」を初搭載した。

 もともとスバルは、1984年に乗用車用CVT技術を発表、それから3年後の1987年、「世界初のスーパーオートマチック」と銘打ち、SUBARUジャスティECVTを発売した歴史を持つ。

 それから30年以上をかけ、現在では、WRX S4のような300ps、400Nm級のパワーを受け止めるチェーン式CVTにたどり着いている。なお、2代目となる新型レヴォーグは、マニュアルモード付の8速CVTだ。

■「油圧PSとEPS」と同様、「MTや有段ATと同じにはできない」

CVTはいまや燃費と快適性を両立するトランスミッションに成長した。しかしまだまだ進化の余地もあるのだ
CVTはいまや燃費と快適性を両立するトランスミッションに成長した。しかしまだまだ進化の余地もあるのだ

 とはいえ、ダイレクトにギアがかみ合うMTや、慣れ親しんだ有段ATの変速フィーリングには到達していない。なぜならCVTは、ATの弱点を克服しようと、構造を大きく変えたものだからだ。この構図は、かつてEPS(電子制御パワーステリング)が油圧パワステの操舵力を目指したことと重なる。

 EPSのモーター出力改良や特性チューニングによって、油圧PS特性に近づけることはできても、まったく同じにはできない。

 それよりも、EPSの長所を認識し、「燃費改善」や「モード可変操舵力」、「操舵力アシスト」といった、EPSならではの魅力を磨いて極めたことで、いまではほぼすべてのパワステがEPSへと置き換わるまでになっている。

 過去をリスペクトしながらも、新しいものを受け入れる見方が、我々には必要なのかもしれない。

【画像ギャラリー】あの独特のモタッとしたフィーリングも今は昔!? CVT改善の歴史を振り返る

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