■1台3役以上の高圧洗浄清掃車
これまでゴム汚れの除去作業の現場には、一般的にクリーナーをはじめ、ポンプ車、バキューム車、清水・汚水タンク車など3台以上の車両と多くの人員が必要とされていた。RWC1500は、それらの作業を1台で行なえる多機能性が最大のセールスポイントだ。
洗浄清掃作業に際しては、エンジンPTОによって油圧ポンプを駆動するのだが、この油圧を多方面に活用。まず洗浄清掃作業時は、油圧を利用して後輪を駆動し、走行する。これによって作業時の微低速の走行速度を一定に保ち、作業の精度を高めることに貢献するという。
またPTОにより発生した油圧によって心臓部のKAMATの超高圧ポンプを駆動させるとともに、サーフェスクリーナーユニットも稼働させるというから、洗浄清掃作業時は油圧がすべてのパワーの源なのだ。
超高圧ポンプは最大吐出圧力2500barを発生し、超高圧水の吐出量は毎分29リッターに達する。
洗浄用水は、車載の6000リッタータンクに蓄えられ、100ミクロンと25ミクロンの二重のフィルターによってろ過され、給水昇圧ポンプに導かれる。さらに給水昇圧ポンプから10ミクロンのフィルターによってろ過され、超高圧ポンプに給水される。
これほどまで綿密にろ過するのは、水の中に含まれる細かい錆やゴミが高圧ポンプのバルブに傷つけないよう、さらに洗浄クリーナーの先端のノズル径が0.15mmと小さいため、目詰まりしないようにするためだ。
■スグレモノのサーフェスクリーナーユニット
2基のサーフェスクリーナーユニットは、作業現場への移動などの通常走行時には路面から高い位置に格納される。
作業時には降下し、作業位置に750mmずつ合わせて1500mmの作業幅でノズルから高圧水を路面に噴射。路面に付着したゴム成分などの汚れを剥離するとともに、舗装表面から深部に潜り込んだ砂や埃などを浮き上がらせる。
同時にクリーナー後部に装着された強力バキュームによって吸い上げられ、廃水タンクに送り込まれる。
清水タンク、廃水タンクを搭載したコンテナは油圧による傾斜昇降が可能で、これによって排水したのち、後部ハッチを開いて廃水タンク内に堆積したゴム成分、土砂などの排出を容易にしている。
また、作業走行速度の設定、高圧水圧力設定、高圧水水量設定など全ての作業は、タブレットタイプのディスプレイにタッチすることで行なうことができる。さらに作業中はライブカメラによって状況確認もでき、作業に関するほとんどの情報がディスプレイに表示されるのだ。
RWC1500には追加オプションも多数用意されているが、中でもハンドサーフェスクリーナーは、車両本体に接続して使用できる作業幅250mmの小型サーフェスクリーナーで、ラインの消去など車両から離れた狭小部分に適している。
■滑走路のゴム除去作業を1分で完了
デモンストレーションの試験施工を行なったナリコーの萩原克彦常務執行役員によると、
「滑走路のゴム除去作業は、これまでは4台~5台くらいの車両で現場に行って、機械と機械をホースで繋いだりして結構手間が掛かっていましたが、これは1台ですべて業務を行なえるので大きな戦力になっています。
現場に行ってすぐに作業を始められるし、約1分で撤収できますから、緊急着陸などの際にも迅速に滑走路から出ることができます。また、サーフェスクリーナーのノズルの径がごく小さいので、超高圧の水を噴射しても舗装を傷めず、ゴムだけ取れるのでとてもいいと思います」。
ちなみに成田空港の場合、この滑走路のゴム除去の作業は年に3回ほど行なっているという。
「ゴム除去作業のほか、滑走路に描かれた標識を消すのに時々使用していますが、ただ、それでも稼働率はそう高くない。そこで他の空港にもお声掛けさせてもらっています。先日は新千歳空港でゴム除去を行ないました」。
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