■ヴェルファイア系デザインのヴォクシーは引き続き人気
興味深いのは格下となる、ノア、ヴォクシー、エスクァイア3兄弟のなかではヴォクシーが最も販売台数を稼いでいるのだが、ZSのみのモノグレード構成(特別仕様車ZS“煌Ⅲ”はあり)となっているのである。ヴェルファイアと同じモノグレード構成なのに、状況はかなり異なっていると言えよう。
ノア3兄弟では、例えばエスクァイアの2020年度の年間販売台数をみると1万9800台となり、ヴォクシーが約7.1万台、ノアが約4.6万台を販売しているのに対し、大差がついている。
2021年末ともいわれている、ノア3兄弟のフルモデルチェンジではエスクァイアはなくなるというのがもっぱらの話となっている。
それでは、ノアもしくはヴォクシー、どちらに一本化されるのかということになるが、ノアを専売していたカローラ店に全店併売化直後に、ヴォクシーの試乗車が置かれたことや、テレビCMはヴォクシーばかりがオンエアされていることを考えれば、ヴォクシーに一本化されるのではと思える。
しかし、元専売店のネッツ店で聞くと、「ノアと言う車名のほうが歴史は長いのでノアではないか」とのことなので、はっきりしていない様子。
ただ、現状の人気を考えるとヴォクシーへの一本化が自然な流れのように見える。
アルファードとヴェルファイアについても、現行モデルのデビュー時にメーカーとしては、「ヴェルファイアのほうが売れるだろう」としていたようだが、そして少なくとも2017年のマイナーチェンジまでは、ヴェルファイアのほうが売れるとしていたのは月販目標台数を見ても明らか。
ただ、その後はアルファードの販売台数がヴェルファイアを抜き伸びている。これは、何か恣意的に操作された結果とも思えないので、純粋な市場人気を反映したものといっていいだろう。
海外への中古車輸出がアルファードでは活発となり、圧倒的にリセールバリューがいいことも大きく影響したかもしれない。
それなら、スパッとヴェルファイアをやめてもいいのではないかとも考えがちだが、日本以外の海外まで視野を広げると様子が変わってくる。意外なほど海外へ正規輸出されているのである。
■日本でも残? フェードアウトする?
まず、2021年4月末に開催された上海モーターショーで、トヨタとの現地合弁会社のひとつ一汽トヨタはそれまでラインナップしていたヴェルファイア改め、“クラウンヴェルファイア”をデビューさせた。このクラウンヴェルファイアは日本で生産され輸出されることになる。
このほかASEAN地域をざっと調べてみると、ヴェルファイアとしては、インドネシア、マレーシア、シンガポール、香港などへ正規輸出されている。
海外向けモデルの生産も当分続くようなのだが、例えばインドネシアでは12憶1695万ルピア(約935万円/1ルピー:0.007695円)や、クラウンヴェルファイアでは最高で92万元(約1586万円/1中国元:17.24円)と、かなり高価なので人気が高いとしても販売台数は少なめとなる。
となれば、生産台数の調整もあるだろうが、「どうせ海外向けを日本で生産するのだから、日本向けもひっそりと生産して販売を続けよう」というものもあるのかもしれない。
そうはいっても、いまの状況をみると、ヴェルファイアはそんな遠い先ではなくフェードアウトするだろうというのが、いまは主流の見方となっている。それでは“ポスト ヴェルファイア(ヴェルファイアがなくなったあとの補完車種)”はあるのかを考えてみよう。
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