■特別仕様車も見逃せないチョイス
このあたりのバリエーション設定(S Cパッケージ)については、ハイエースバンの“DX GLパッケージ”に似ている。
いわずとしれた、世界的にも人気が高く、日本から輸出される中古車も“引っ張りだこ”となっているのがハイエースバン。
日本ではバンを超えた贅沢仕様となっている最上級グレードのスーパーGLの人気が高いが、もともと無塗装バンパーをカラードバンパーにするなどして、スーパーGLに近い仕様となっている“DX GLパッケージ”の人気も高い。
これはただ、装備内容や見た目がスーパーGLに近いというだけではない。スーパーGLは確かに憧れのグレードであるが、フロントが2名乗車となる。しかしDX系は3名乗車(2名乗車仕様もあり)となり、GLパッケージもそのまま3名乗車仕様が選べるので、あえてDX GLパッケージを選ぶひとも多いと聞く。
アルファードのS Cパッケージも、3.5LV6であるSC並みの豪華装備が2.5Lでも選べることが人気となっている点では、ハイエースのDX GLパッケージと共通するものを感じる。
また、S Cパッケージと並ぶ人気となっているのが、特別仕様車となる“SタイプゴールドII”。
Sグレードがベースとなっているのは、S Cパッケージと同じだが、ウルトラスエード+合成皮革シート地など特別装備を盛り込みながら、シーケンシャルターンランプなど押さえるところは抑えながら、SCとの共通装備を減らすことで、S Cパッケージより買い得な価格設定となっている。
SタイプゴールドIIの2.5Lガソリン(FF)の車両型式番号をみると、3BA-AGH30W-PFXSK(H)となっている。
トヨタの場合は末尾の(H)を除いた部分が、2.5LFFのSとなる車両型式番号となり、さらに(H)がつくことでSタイプゴールドIIとしての独立した車両型式番号となる[ちなみにS Cパッケージは末尾が(C)となっている]。
トヨタ以外のブランドであっても、いまは少なくなってきたが、ディーラーが独自にディーラーオプションや汎用品を装着した、オリジナル特別仕様車を設定することがある。
この場合は独立したグレード扱いになっていないので、ベースグレードとして下取り査定や買い取り査定が進んでしまい、思っていたより査定額が少なくなることがある。
トヨタ車の場合は車両型式の末尾に(●)があれば、トヨタ以外のメーカーでも独立したグレードとして扱われ、それをベースに下取り査定が進むことになる。
現場のセールスマンが異口同音に話してくれたのが、「ツインムーンルーフをメーカーオプションで選択すると、12万1000円高となるが、下取りや買い取り査定時には、12万1000円もしくはそれ以上に査定額がアップするので選んだほうがいい」と語ってくれた。
また珍しいのがタイヤサイズをダウンさせるオプションも用意されている。
例えばSタイプゴールドIIならば、235/50R18が標準装備なのだが、アップグレードするオプションはなく、ガソリンのみとなるのだが225/60R17(-1万9800円/2WD)だけではなく、215/65R16(-6万2700円/4WD)へタイヤサイズを変更することも可能となっている。
ただ、サイズによってとはなるものの、カタロググレードでもホイールデザインがいくつか用意されているので、ホイールデザインをみると、どのあたりのグレードか一目でわかるので、同じアルファードに乗っていても、見るひとが見れば「あれは安いグレードだ」とすぐにわかってしまうので注意してもらいたい。
高額車のため、シビアな予算の中で検討するひとも目立つようで、タイヤサイズダウンのような“コスト削減オプション”が用意されていると、セールスマンは説明してくれた。
結論としては、アルファードのなかでベストチョイスを探していくと、結構な数となるグレード構成ではあるが、2.5L直4となるS Cパッケージもしくは、特別仕様車のSタイプゴールドII以外は事実上選択肢がないという結論に至った。
また、フルサイズのラグジュアリーミニバンと言っていい車種なのに、内装色がオプションですら任意選択がほとんどのグレードにおいてできないなど、トヨタらしいシビアなコスト管理が行われていることも改めて感じた。
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