オデッセイなど名門車生産終了を決めたホンダの国内販売戦略の行方


■生産拠点の集約が加速する

寄居工場ではフリード、CR-V、ホンダe等が製造されている。生産枠に余裕があり、新たにステップワゴンの生産を引き受けることも可能とみられる

 ヴェゼルは、以前は寄居工場で生産されていたが、現行型は鈴鹿製作所だ。鈴鹿製作所はN-BOXを始めとする軽自動車のNシリーズ、フィット、シャトル、さらにヴェゼルまで生産するから、かなり過密な状態だ。販売店からは「ヴェゼルの納期が半年から1年と長い背景には、生産量の多い鈴鹿製作所が手掛ける影響もあるのではにないか?」という話も聞かれる。

 そして寄居工場で新たにステップワゴンを生産すると仮定すれば、ヴェゼルを鈴鹿製作所に移したことも納得できる。現時点で寄居工場が生産する車種は、フリード、CR-V、インサイト、ホンダeだから、堅調に売れているのはフリードだけだ。寄居工場には余裕があり、ステップワゴンの受け入れもしやすいだろう。このほか次期シビックも、寄居工場が生産する可能性が高い。イギリスの工場が閉鎖されるためだ。

 それにしても、オデッセイ、レジェンド、クラリティが国内販売を終えると、ホンダのブランドイメージは大きな影響を受ける。少なくともオデッセイとレジェンドは、登録台数は減っても、中高年齢層の間では知名度が高いからだ。

 オデッセイは前述のとおりミニバンの先駆者で、歴代モデルともに、多人数乗車の実用性と併せて優れた走行性能を発揮してきた。ホンダ車の特徴は、実用性や環境性能に力を入れても、走りの良さを忘れないことだ。その象徴がオデッセイだった。ホンダのイメージリーダー的な存在だから、これが消滅すると、ホンダのブランドも変化してくる。

 レジェンドも同様だ。ホンダ初の最上級セダンとして1985年に登場して、初代モデルのウイングターボから現行型のSH-AWDまで、常に先進のメカニズムを採用してきた。

 つまりオデッセイとレジェンドは、単なるLサイズカーではない。ホンダらしさが濃厚で、ブランドの特徴を具体的に表現して発信する役割を果たしてきた。

■ホンダのブランドイメージが崩れないか心配だ

ミニバンブームの火付け役となり、ホンダの一時代を築いたオデッセイの生産終了は衝撃的だ

 今のホンダの国内販売状況を見ると、前述の通り「軽自動車+フィット+フリード」の合計台数が、国内で新車として売られるホンダ車の約80%を占める。この販売構成比により、ホンダのブランドイメージは、コンパクトで低価格の方向へ大きく変わってきた。

 例えば今年30歳になるユーザーであれば、誕生したのは1991年だから、3歳の時に初代オデッセイ、5歳の時に初代ステップワゴンが発売された。10歳の時に初代フィット、20歳の時に初代N-BOXが登場している。中高年齢層であれば、ホンダのブランドイメージは運転の楽しいスポーティカーだが、30歳以下のユーザーから見れば小さくて実用的なクルマのメーカーだ。

 それでもオデッセイやレジェンドが用意されていれば、ホンダのホームページを見た時には、印象が多少なりとも違ってくる。小さなクルマだけでなく、上級のセダンやミニバンも手掛ける総合自動車メーカーだと分かる。

 つまりこの2車種は、登録台数は少なくとも、ホンダのブランドイメージを小さくて安いクルマ造りに偏らせないスタビライザーの役割を果たしている。それを失えば、ホンダのイメージはさらに偏り、クルマ造りや売れ方にもズレが生じるかも知れない。

 一番怖いのは、車種の廃止に歯止めが利かなくなることだ。ミドルサイズ以上のホンダ車の登録台数を最近の1か月平均で見ると、インサイト:220台、アコード:270台、CR-V:440台という具合だ。

2021年5月末時点で累計販売台数200万台を突破したN-BOXシリーズ。2011年のデビューから10年を迎える大ヒット車

 軽自動車+フィット+フリードが国内で売られるホンダ車の80%に達する状況と考え合わせると、これらの車種も今後は整理の対象に入るのではないか。特にCR-Vとシビックは、国内市場から一度撤退して復活した経緯があり、次に廃止されたら二度目の復活は望めない。

 しかも今後は電動化を中心とした環境対応、自動運転に向けた運転支援機能の進化など、先進技術への投資も増える。車両の開発費用はなるべく抑えたいから、車種のリストラも加速しやすい。

 時系列で見れば、狭山工場を閉鎖するからオデッセイ/レジェンド/クラリティも生産を終えるが、実際はすべてがセットになって進行している。工場の閉鎖から車種の削減まで、すべてのリストラを同時に進めているわけだ。

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