マツダ ベリーサ
2004年登場のベリーサは、2代目デミオをベースに、小さな高級車の要素を盛り込んだモデルである。
具体的な要素としては、アテンザのフレームを使ったことによるシートの大型化、静粛性や乗り心地といった快適性の向上、ハーフレザーシートやウッド調&レザーステアリングなどから構成されるレザーパッケージ、HDDミュージックサーバーのオプション設定といった充実した装備内容が挙げられる。
ベース車は1.5Lエンジンを搭載し、150万円台中盤とコンセプトを考えると高くなく、オプション装備の価格も意外に安かった。
そのため今になると売れなかった明確な理由は浮かばないのだが、やはりデミオに比べると高く、デミオで充分と感じる人が多かった、当時の日本人にはコンセプトが理解されなかった、受け入れられなかったというあたりなのか、販売は伸び悩んだ。
ベリーサは2016年までの12年間という長きに渡って販売されたものの、初代モデル限りで歴史を閉じた。
トヨタ ブレイド
2006年登場のブレイドは、一足先に登場したVWゴルフなどをターゲットにした初代オーリスをベースに、全体的に上級志向とした日本専用車で、その意味ではノートとノートオーラの関係に近いところもあるモデルだった。
エクステリア以外に上級志向となっている具体的な点としては、インテリアのメーターフードや助手席側のアッパーボックスをスエード調とするなどし、質感を向上。
エンジンは1.5Lと1.8Lの直4エンジンのオーリスに対し、ブレイドは2.4L直4と3.5L・V6(後者はブレイドマスター)を搭載し、リアサスペンションもFF車はトーションビームとなるオーリスに対し、ブレイドはダブルウィッシュボーンとしていた。
乗れば面白みこそ薄いものの、よくまとまっていたブレイドながら期待ほどは売れず姿を消した。ブレイドがあまり売れなかった理由としては、2.4Lが該当する当時の250万円前後のトヨタ車には、2代目プリウスという上り調子だった強敵がいたのに加え、ブレイドの扱いディーラーがよりによってプリウスと同じトヨタ店とトヨペット店だったことも大きかったように感じる。
トヨタ iQ
2008年にスマートフォーツーのようなシティコミューターとして登場したiQは、シティコミューターの要素に加えマイクロプレミアムカーというコンセプトも盛り込んだモデルだった。
iQは全長3mに満たないボディに4人を乗せるため、上方に配置したステアリングギアボックスやフラット化された燃料タンクの採用、エアコンの小型化などの新技術を盛り込んだ意欲作だったが、販売は振るわず、初代モデル限りとなった。
その理由としては、前述した新技術を盛り込んだため、ボディサイズはマイクロカーでも価格を下げられなかったという事情もあるにせよ、そもそもプレミアムカーとして売ろうとしたことが大きかったように感じる。
また、140万円するとなると、同じ価格で買えるヴィッツ(現在のヤリス)や軽自動車を選ぶユーザーが圧倒的に多かったに違いない。
そうしたことを考えると、iQにはアストンマーチンに供給され、内外装を中心に遮音材の追加などの手を加えられたシグネットこそが本来の形だったのかもしれない。
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