2020年、スーパーフォーミュラ王座とスーパーGT王座のダブルタイトルを獲得した山本尚貴。そんなスーパーフォーミュラのディフェンディングチャンピオンが、2021年は不調の波に喘いでいる。
今季はQ3に一度も進出しておらず、ランキングも現時点で12位。山本の実力を知っていれば不思議としか言いようのない不調の原因を探る。
文/段 純恵、写真/HONDA
【画像ギャラリー】王者の輝きを取り戻せ!! 苦難の2021年を戦う山本尚貴
■SFディフェンディングチャンピオンの不調
昨年3度目のSF王座にしてスーパーGTとの2度目のダブルタイトルを獲得したスーパーフォーミュラのディフェンディングチャンピオン、山本尚貴(32)が絶不調の沼にハマっている。
開幕からの4戦中3レースでポイントを獲得しているのだから絶不調なんて大げさでは、と思うかもしれない。だが、予選の上位8台を決めるQ3に今季は一度も進出しておらず、ランキングも現時点で12位と、山本の実力を知っていればこれはもう『絶』のつく不調としか言い様がない。
山本はホンダのドライバー育成プログラム「鈴鹿サーキットレーシングスクール」を受講し、スカラシップを受けて育った生粋のホンダドライバーだ。
’10年ナカジマ・レーシングからSF(当時の名称はフォーミュラ・ニッポン)にデビューし、その翌年にチーム無限へ移籍。’18年に2度目のSFチャンピオンを獲得した後、’19年にダンディライアンレーシングへと移り、昨年3度目の国内トップフォーミュラ制覇。そして今季から古巣のナカジマでSFを戦うこととなった。
これまでと同様、今回の『異動』もお膳立てしたのはホンダだ。過去10年以上にわたり国内外の若手ドライバーを走らせてきたナカジマ・レーシングで、3度のチャンピオンに輝いた腕を活かしチーム力のさらなる向上を図ってもらいたい、というホンダの意向に山本がひと肌脱いだ格好である。
ところが冒頭に書いたように、いまのところひと肌脱ぐどころか、山本は予選、決勝をふくむほとんどのセッションで若きチームメイトの大湯都史樹(22)に遅れをとっている。
確かに大湯は若手の中でも活きの良さと速さでピカイチのドライバーだが、参戦2年目の若者に現王者の山本が負けっぱなしというのは、どう考えても尋常ではない。
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