スーパー耐久レースに登場したカローラスポーツは、水素を燃焼させて走るエンジンを搭載して大きな話題を集めた。
しかしこれより前に、水素を燃焼させるエンジンを製造し、公道走行試験を行い、さらにリース販売したメーカーがある。それがマツダだ。
ロータリーエンジンの特性を生かした水素エンジンはどのようなものだったのか? 実際に試乗した片岡英明氏に解説してもらった。
文/片岡英明、写真/Mazda
【画像ギャラリー】水素しかもロータリー!! カローラスポーツよりも前に水素エンジンに取り組んでいたマツダ
■研究開発を続けていたマツダ水素エンジン
5月に富士スピードウェイで開催されたスーパー耐久シリーズの第3戦、富士24時間レースにおいて話題を独占したのが、カローラスポーツに水素エンジンを積んだ「カローラH2コンセプト」の参戦だ。
提案したのは、モリゾウ選手ことトヨタの豊田章男社長で、自らも水素エンジン搭載車のステアリングを握って激走した。水素(H2)の魅力は、地球上のどこにいても手に入ることである。
その多くは水(H2O)として存在していることから分かるように、理論的には二酸化炭素(CO2)を発生しないクリーンなエネルギー源だ。
だから水素と酸素を反応させて電気エネルギーを作り、モーターで走らせるミライなどのFCV(燃料電池車)に使われている。富士24時間レースに参戦したカローラは、FCVではない。GRヤリスと同じ1.6Lの直列3気筒DOHCエンジンを積んでいる。
が、燃料にするのは、ガソリンなどの化石燃料ではなく水素だ。燃焼させるために少量のエンジンオイルを使うが、CO2はほとんど発生しない。同じ有害物質のNOx(窒素酸化物)も後処理でクリーンにできるだろう。
また、水素は燃焼速度がガソリンよりはるかに速いから、応答レスポンスはいいし、低回転域から厚みのあるトルクを発生する。既存のエンジンを改良して使うから、生産コストだって大きく抑えることが可能だ。
だから、これまでにも多くのメーカーが水素エンジンの実用化に挑んできた。海外ではBMWが有名だが、日本の自動車メーカーにも早い時期から水素エンジンに挑んだメーカーがある。マツダだ。今から30年も前に東京モーターショーにコンセプトカーを出品し、その後も精力的に開発を続けていた。
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