■AクラスもA180からAMGまで幅広く展開
Aクラスに話を戻せば、362万円から購入できるその車体は、802万円のAMGA35・4MATICと同じだ。A180は136馬力のガソリンターボエンジンを搭載するが、AMGA35・4MATICは3倍もの421馬力である。
それほど高性能なAMG車両を高速で安定して走らせられる基本骨格と、A180は同じなのだ。したがって、その余力ははかりしれない。
走行中の運転の手ごたえがA180でも的確なのは、ある意味で当然の結果なのだ。
Cクラスの前身となる190Eをメルセデス・ベンツが初の5ナンバー小型4ドアセダンとして発売した時、その仕上がりはあたかもSクラスのようで、ただ車体が小さいだけだと思わせた。運転感覚はもちろん、座席の仕立てや、内装の出来などもSクラスと違わなかった。
そこに、「最善か無か」の哲学が活き、そして「究極の実用車」としてメルセデス・ベンツが考える小型車の姿があった。
そうした伝統は今日なお継承されているはずだ。それが、もっとも安価なAクラスでも実現されているのである。
もちろん、ほかの自動車メーカーにはそれぞれ継承されてきた思想や目指すべき姿がある。それらが個性としてブランドを引き立たせている。
そうしたなかで、メルセデス・ベンツらしさは、車格を問わず筋が通されており、その奥には、ガソリンエンジン自動車を初めて世に出したメーカーとしての矜持もあるはずだ。それを言葉にしたとき「最善か無か」に帰結する。
単に価格の上下で比較するのではなく、メルセデス・ベンツを選んだ自分に間違いはないという安心と誇りを、車格を超えてメルセデス・ベンツはもたらすのである。
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