ホンダ F1撤退! 2040年全車EV&FCV化!! クルマ好きを見捨てるのか?

■大切な忘れ物はないですか?

1997年8月に登場したEK9型初代シビックタイプR。新車価格は199万8000円。現在中古車相場は約160万~798万円で程度のいいものは300万円オーバーから。このほかインテグラタイプRやS2000などホンダスポーツが軒並み高騰しているのは、ホンダの新車に手軽なスポーツカーがないからではないか
1997年8月に登場したEK9型初代シビックタイプR。新車価格は199万8000円。現在中古車相場は約160万~798万円で程度のいいものは300万円オーバーから。このほかインテグラタイプRやS2000などホンダスポーツが軒並み高騰しているのは、ホンダの新車に手軽なスポーツカーがないからではないか
B16B型1.6L、VTECエンジンは185ps/16.3kgmを発生。リッターあたり116psの高出力。もうこのようなエンジンをホンダは作らない……
B16B型1.6L、VTECエンジンは185ps/16.3kgmを発生。リッターあたり116psの高出力。もうこのようなエンジンをホンダは作らない……

 いままでのレポートでは変化するホンダの事情を説明したように受け取られるが、ここからがホンダに対して物を申したい部分となる。

 今から20年くらい前のこと。トヨタはサイオン(SCION)というブランドをアメリカで立ち上げたことがあったが(2003~2016年)、その最大の理由はカリフォルニアの若者からそっぽを向かれていたことだった。

 若い人が集まる大学のキャンパスにはホンダ車が多く、トヨタ車はほとんどいないことにトヨタは危機感を覚えたという。このころ、グローバル化によって新興国でもクルマが売れるようになったが、クルマ好きは退屈なトヨタ車を選ばなかった。

 その一方で、ホンダは、シティ、シビック/インテグラのタイプR、ホンダS2000など、ボーイズレーサーの名を轟かせ、若い人から支持されていた。

 あれから20年の年月が経った。トヨタは豊田章男社長のクルマ愛がこうじて、楽しいクルマがどんどんトヨタから送りだされている。

 自前で設計生産できないモデルはスバルやBMWとコラボしてまで、クルマ好きの豊田章男社長が乗りたいと思うクルマを製品化している。GRというホットなブランドはヤリスからランクルまで品揃えし、KINTOではGRヤリス・モリゾウセレクションも用意する。

 しかし、最近のホンダはどうだろうか。サーキットを3つも保有し(鈴鹿・茂木・熊本)、F1でも強さを誇るものの、そのイメージとは裏腹に、2005年頃からスポーツカーの撤退が続いているし、最近はコンパクトカーのホットハッチも存在しない。

 若い人が手に入れることができる安価なホットハッチがないのは、これからのホンダの事業では致命的になるのではないだろうかと危惧する。

 環境・安全への技術革新と事業の抜本的な見直しは不可欠である。素晴らしいEVが作れても、その時にユーザー不在であってはホンダの復活はあり得ない。ホンダがもっとも大切にするべきことは、みんなが買えて、楽しめるクルマなのだ。

スポーティグレードのRSは現行フィットには設定されていない。1.5Lエンジンを搭載し、エアロパーツなどの外観だけでなく足回りも専用セッティングが施されていた。写真は先代フィットRS
スポーティグレードのRSは現行フィットには設定されていない。1.5Lエンジンを搭載し、エアロパーツなどの外観だけでなく足回りも専用セッティングが施されていた。写真は先代フィットRS

 新型フィットが発表されたとき、八郷社長と面談した。タイプRほど過激でなくてもいいから、フィットに小気味よく回るエンジンを搭載したRSが欲しいと強くお願いした。たまたま大学の後輩なので、先輩の言うことを聞いてくれると思っていたが、そのまま去ってしまった。三部さんとも長いお付き合いなので、スズキスイフトスポーツのように200万円以下で買えるホットハッチが欲しいとお伝えしておきたい。

 ということで、この場を借りて、ホンダの三部社長には「そのことを忘れないでほしい」と申し上げたいのである。

ホンダはこの先どうなっていくのか? ホンダファンは心配でたまらない……
ホンダはこの先どうなっていくのか? ホンダファンは心配でたまらない……


清水和夫(Kazuo Shimizu)
自動車ジャーナリスト
神奈川工科大学 特別客員教授
内閣府SIP自動走行 構成委員

国際モータージャーナリスト清水和夫が主宰する自動車関連映像専門サイト「StartYourEngines」

【画像ギャラリー】ホンダはこの先どうなってしまうのか? 清水和夫の今のホンダにもの申す!!! を写真でチェック!!

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