■ゴルフの装備=コンパクトカークラスの必須装備になってきた
そんなゴルフは、Cセグのベーシックなハッチバックとしての機能や性能の高さを追求してきたのはもちろん、これまでいくつもの新機軸を打ち出してきた。
それがやがて同じ土俵にいる競争相手にとってもスタンダードと化してきたことから、時代を先取りしていたとしてベンチマークとしての価値をより高めてきた。
いち早く実施したサイズの拡大と高級化路線をはじめ、ダウンサイジングコンセプトやDSG、リアマルチリンクサスペンション、MQBの採用などがまさしくそれだ。最新のゴルフ8で見せた電動化やデジタル化、運転支援技術の強化も、ゆくゆくは常識となっていくことだろう。
こうした一連の流れにより、ゴルフといえばもはや何も説明しなくても「優れたクルマ」だと誰しもに認識されるほどにすでに定着したイメージを持っているという強みがある。それは一朝一夕でできるものではない。
これまでなにをやってきたか、いまなにをやっているかの積み重ねで、時間をかけてできあがるものだ。それは黙っていても透けて見える。そんなゴルフをありがたがる人が日本にも大勢いるのは、不思議なことではない。
ベンチマーク=目標というのは、憧れにつながる。同格の日本車に比べると多少は割高でも、少し背伸びすれば手に入る。そこにプラスアルファを払うことにあまり抵抗はない人が大半だろう。
■ゴルフというクルマに付随するニュアンス
一方で、よくゴルフは「クラスレス(=特定の社会階級属さない ※Weblioより引用)」とも評される。たとえばメルセデスのSクラスやEクラスあたりからAクラスに乗り換えると、ダウンサイジングという大義名分があっても少なからずちょっと悲壮感が漂うのは否めず。
ところが、それがゴルフだと恥ずかしくない。このニュアンスもご理解いただけることと思う。
ユーザーもまさしくそうで、ゴルフは老若男女どんな人が乗っても絵になる。輸入車のビギナーから国内外のクルマを知り尽くした経験豊富な人まで、どちらにも薦められるクルマでもある。
輸入車信仰の根強い日本では、下世話な話だが、日本車を所有するのとは周囲に与える印象も違えば、とりわけゴルフの場合は前述のイメージのよさもあって、なおのこと所有する充足感も高まるのはいうまでもない。
■日本人も親近感を持つゴルフ
さらには、日本車にはない価値を感じさせながらも、日本車と同じようなとっつきやすい雰囲気を持っているのもゴルフの特徴だ。これがメルセデスやBMWやアウディだと、実際以上に敷居が高いと感じる人は少なくないところ、ゴルフには親近感がある。
それゆえ遠い世界の話ではなく、現実味を持って接せるクルマゆえなおのこと、誰しもにとってよりありがたみが増して感じられるのではないかと思う。それが日本車とそれほどかけ離れていない出費で手に入れられるのなら、「どうせならゴルフを」という思考になる人が少なくないのは当然だろう。
個人的にも驚いたのは、ディーゼルゲート問題とその後のことだ。まさかVWがあんなことをするとは思ってもいなかったのはもちろん、あれほどの大問題を引き起こしてはそれなりに尾を引くと思っていたのに、一時的に販売は低迷したものの、予想外の早さで立ち直ったからだ。
さらにはいまや電動化を推し進める急先鋒になっている。これもまた先でも述べた確立されたブランドイメージという強みもあってのことと思う。そして、そのVWの象徴的存在こそ、ほかでもないゴルフである。
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