本国よりも1年半遅れて日本にようやく上陸したVWの新型ゴルフ。その新型評価は全体的に好評のようだが、もともとVWゴルフというクルマに対しての期待値がやけに高いようなところがあるような……。
なぜVWゴルフに対する評価がそんなにも高いのか。そして、ゴルフってどこがいいのか? モータージャーナリストの岡本幸一郎氏が解説する。
文/岡本幸一郎
写真/フォルクスワーゲン、ベストカー編集部
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■遅れてやってきたコンパクトカークラスの「ベンチマーク」
コロナ禍の影響もあって、本国よりも1年半も遅れてようやく日本上陸をはたしたゴルフ8だが、その評価は上々だ。待った甲斐あったと思っている人も少なくないことだろう。
ますます激戦区の様相を呈するこのカテゴリーにおいて、いつしか呼ばれるようになった「ベンチマーク」としての面目躍如である。
「ベンチマーク」という言葉は、もともと測量における水準点という意味で使われていた。そこから派生して、投資や経営などの分野では多少意味合いが変わり、指標や指数として使われるようになった。ビジネスの場では、他社の優れた部分を学び、自社に活かすという意味で使われる。
自動車業界でもまさしくそうで、開発関係者から頻繁に飛び出すベンチマークという言葉は、「目標」とほぼ置き換えられる。すなわちゴルフは、そういうクルマとして認識されており、そう呼ばれるに相応しいクルマでありつづけている。
普通に考えると時間の経過とともに、ほかの優れたクルマが出れば変わってもおかしくないところ、常にその位置にいるわけだ。
■むしろ目標にされすぎてアワードが少なめ?
ゴルフがいつからベンチマークと称されるようになったのかはよく知らないが、ゴルフ2あたりが現役の頃すでにと呼ばれていたような気がする。
ゴルフ2に乗っていた知人が何人かいたので比較的頻繁に乗る機会があったのだが、騒々しくてATのできがよくなかったりステアリングがやけに重かったりと、まず不快な部分が気になったものだが、当時まだ経験の浅かった筆者でも足まわりのよさはよくわかった。
ドッシリと安定していて、適度にしまっていてクルマ酔いしやすい人も、ゴルフなら酔わない。その感覚は当時の日本車とは一線を画していた。
それを当時の自動車メディアも高く評価していたように記憶している。メディアの影響力がいまよりも強かった時代でもあり、その評価が浸透していったのがいまでも少なからず効いていることには違いない。
日本だけでなく海外でも、ゴルフはベンチマークとして認識されている。世のハッチバックを手がけるメーカーはみなゴルフに追いつけ追い越せを旗印に努力を重ねてきた。
意外なことに、欧州COTYのようなアワードでは、ゴルフひいてはVWの受賞歴は少ないのだが、むしろベンチマークすぎて面白味がないからか、ゴルフを超えていたかどうかはさておき、ラテン系の何か特徴的なものを持ったクルマのほうが多くの票を獲得してきた傾向がある。
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