■「販売苦戦」の本当のトコロ
2018年6月に発売された15代目は、同年末までに4万台近くを販売し、月販目標台数として掲げていた4500台を翌2019年3月まで、同年2月を除いて大半の月で余裕をもって達成した。
以降は目標には届いていないが、2019年も年間で3万6125台を販売。
翌2020年は、それまでトヨタ店の専売だったところ5月から全店で扱われるようになったものの、コロナ禍の影響もあって、2万2173台まで落ち込んだとはいえ、2021年5月までに3年たらずで約10万7000台も販売しているのなら、充分に健闘しているように思える。
このご時世に月販4500台というのは現実的には目標設定が高すぎる感もあり、そこに達していないことから販売苦戦と評するのも違う気がする。
ここ20年ほどのクラウンを振り返ってみると、12代目のゼロクラウンはパーソナルなイメージもあり、オーナーの若返りを図ることもできて、成功だったと思う。次の13代目では、ハイブリッドがひとつの顔になった。こちらも概ね成功だったと思う。
次の「Re BORN」と打ち出した14代目では、アスリートの顔が話題となった。リボーン=生き返るというほど死んでもいないのにと思ったものだが、意気込みは伝わってきた。
ピンククラウンという奇抜なアイデアも具現化した。ハイブリッドの存在感が一気に高まったのもこの世代だ。そして現行の15代目は、そのコンセプトをさらに発展させた世代と解釈している。
■15代目は独プレミアムに真っ向勝負を仕掛けた
思えば、現行クラウンが登場した頃に開発関係者と話す機会があった際に、ドイツのプレミアム勢のセダンが日本でも好調に売れているのだから、クラウンもやればできるはずという旨を話したことを印象深く覚えている。そのためにRSのようなモデルを本腰を入れて開発した。
乗り心地は多少犠牲にしても走りを優先したような味付けは、販売的にはどうかと思っていたのだが、オーナーの年齢層が上がっているにもかかわらず、この路線を支持する層が一定数いることは表でも明らかだ。
外観について、フロントデザインは先代のアスリートでやりすぎたところを、その特徴を巧く残してクラウンらしさを表現しつつも、嫌悪感を抱かせることのないものとなったのはよいことだと思う。
半面、シックスライトウインドウは裏目に出たような気がしてならない。クラウンに新風を吹き込もうとこれまでと違うことに挑戦したのはわかるのだが、RS系はまだしも、標準系はいまだに似合うとは思えないまま。周囲からもあまりよい評判は聞こえてこない。
一方、現行型の登場当初は安っぽいという声の小さくなかったインテリアは、昨年末のマイナーチェンジで大きく改善されている。
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