■FF化によるメリットはコストだけではない?
肝心の若返りについては、あまり成功しているわけではなさそうな様子がうかがえるが、もし次期型がFFになるとすると、ざっくりいうとカムリの和風高級版となる。カムリの日本仕様はすでにハイブリッドのみであり、いまやクラウンはハイブリッドの販売が圧倒的だ。
そしてクラウンはRS系が受けているのに対しては、カムリやレクサスESにも設定のあるスポーティ系モデルの評価が高いことからして、これまでのクラウンオーナーを納得させるだけの走りを実現することはそれほど難しくないように思う。
高級車としての走りを追求するうえで、本来的にはFFよりもFRのほうが有利であり、イメージ的にもFRのほうが「格上」であることには違いなく、クラウンもFRのままでいてくれるにこしたことはないが、合理的に存続させるにはFF化がベターと考えても不思議ではない。
加えて、現行のトヨタ車やレクサス車のハイブリッド車に関しては、振動の処理をはじめ、走りの完成度はFF車のほうが高いとかねがね感じている。おそらく今後もしばらくはその傾向が続きそうに思う。
ひょっとすると、そのあたりも考慮してクラウンもFFにしたほうが好都合と判断したのかもしれない。
■若い人を取り込むための攻守バランスはどこに
駆動方式もそうだが、開発陣はおそらくデザインや走りの方向性をどうするかに頭を悩ませていることに違いない。若い人を取り込めなければ、オーナーの平均年齢が上がるのは当然だが、何か新しいものがあれば若い人が振り向くとも限らないし、その逆もある。
どうこういってもこれだけの販売を維持できているのは、これまでもたびたび見せてきた「攻め」の姿勢が功を奏した面が小さくないことの表れ。一方でクラウンとしての「守り」の側面もそれはそれで求められる。
現行型はモデルライフの途中だが実に約7割の人がクラウンからの代替であり、次期型の内容次第で離れる人もいるだろうが、今後も乗り継ぐ人にいかに不満を与えないようにしつつ新しいものを取り入れていくか、「攻め」と「守り」のさじ加減が問われる。
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