自動運転にまつわる最新の話題をお届けする本連載。第21回となる今回は、「東京オリンピック・パラリンピックと自動運転技術について」です。たしか数年前までは、トヨタを中心に「東京オリンピック開催中には会場を自動運転車両が走り回る」という話が進んでいたような気がするのですが……。気づけばほとんどの競技が無観客となり、トヨタはオリンピック関連テレビCMを放送しないことに決めたそうで、ええと…自動運転車両は……どうなったのでしょうか? 「この機会に自動運転技術が一気に進むし、世界的にお披露目することで一気に認知度が上がる!」と期待していた人にはちょっとしょんぼりな現状ですが、では実際のところどうなのか…?? という話を伺いました!
文/西村直人
写真/TOYOTA
シリーズ【自律自動運転の未来】で自動運転技術の「いま」を知る
■一般向け同乗試乗会が予定されていたが…
1年の延期を経て幕開けした「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」(以下、東京オリパラ)。各国の選手たちが魅せる真剣勝負の裏側で、日本の自動運転技術の最先端がお披露目されるはずでした。
しかし、コロナ禍によりそのお披露目は延期。一般向けの同乗試乗が予定されていただけに、延期にがっかりされた方も多かったのではないでしょうか。
トヨタはこのお披露目の場で自動運転実験車「TRI-P4」を使い、東京の都市部において、歩行者や車両が入り交じる複雑な交通状況や、様々な道路インフラやガラス張りの背の高いビルなどの厳しい環境のもとで、自動運転技術の実力を示す予定でした。
つまり本来であれば2020年は、自動化レベル4以上の高度な自動運転技術の進捗を公道で実証する絶好のタイミングであったわけです。また、ここでは東京オリパラ関連の取材陣が世界中から集まることから、日本の自動運転技術をアピールするチャンスでもありました。
しかし、緊急事態宣言下の東京オリパラ開催にありながら、状況は若干ながら持ち直します。現在、「東京臨海部実証実験」が2021年7月1日~8月31日の期間で都内の一般道路や首都高速道路を中心に実施されています。
ここでは、自動車メーカーとしてレクサス「LS」、トヨタ「LQ」、SUBARU「XV」、マツダ「Mazda3」が、サプライヤー企業としてヴァレオジャパン、コンチネンタル・オートモーティブがそれぞれ参画。
さらに、ティアフォー、アイサンテクノロジー、損害保険ジャパン、フィールドオートがトヨタ「JAPAN TAXI」に自社で設計したソフトウェアやハードウェアを組み込みMaaS領域の有用性を提案し、金沢大学、中部大学、名城大学ではパーソナルカー(乗用車)での自動運転技術を披露します。
この東京臨海部実証実験では、自動運転車両、運転支援機能の高度化等に係る研究開発及び自動運転車両が周辺交通に与える影響を調査、分析などを行うため、車両に搭載したドライブレコーダーから映像データを取得し開発に活かします。
よって、残念ながら当初予定されていた一般向けの同乗試乗は行なわれませんが、それでも世界に向けた情報発信として有効です。
ところでこうした自動運転技術の開発はどこが主体となって行っているのでしょうか? 簡単にその歴史を振り返ってみます。
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