高齢者や体の不自由な人にも移動の自由を!! 自動運転技術が福祉車両を変える?【自律自動運転の未来 第22回】

■増える高齢者の事故

 2021年1月4日、警視庁は令和2年中(2020年1月~12月)の交通事故死者数が2,839人であると発表します。これは警察庁が1948年(昭和23年)に統計を開始して以降、最小の交通事故死者数です。2019年より376人減少し、初めて3,000人を下回りました。

 一方で、高齢者の交通事故形態ではペダル踏み間違い事故の割合が高く、75歳以上の後期高齢者が運転する場合、駐車場内などでの運転中に起きやすい傾向があることがわかっています。

 さらに、交通事故総合分析センターによると、「75歳以上の高齢運転者では他の年齢層の2~5倍、ペダル踏み間違い事故が多い」ことが報告されています。

 要因は、高齢者の運転免許保有者が多いことです。平成29(2017)年交通安全白書によると「75歳以上の免許保有者数は約513万人(75歳以上の人口の約3人に1人)で、平成27年(2015)末に比べ約35万人(7.3%)増加しており、今後も増加することが見込まれる」とあります。

日本はこれからますます高齢化が進む。とはいえ自動車がライフラインとなっている地域も多い。そうしたなかで「高齢者はすみやかに免許を返納すべし」という話は(一理はあれども)乱暴でもある(AdobeStock@fusho1d)
日本はこれからますます高齢化が進む。とはいえ自動車がライフラインとなっている地域も多い。そうしたなかで「高齢者はすみやかに免許を返納すべし」という話は(一理はあれども)乱暴でもある(AdobeStock@fusho1d)

 とはいえ、運転操作に自信のある方や若年ドライバーであっても過信は禁物です。慌ててペダル踏み間違えて事故を起こす可能性は十分にあるわけですから、「すべての高齢ドライバーが危険」と判断するのは早計です。

 幼い命が奪われる悲しい交通事故は後を絶ちません。しかし交通事故の第一当事者は高齢者だけとも限りません。よって高齢を理由に交通社会から遠ざけるのではなく、高齢者自らが運転操作を反芻し、正しい運転操作ができていないと自身で腹落ちできる社会の基盤や環境作りが重要です。

 そして、自らの意思で運転操作を卒業する見極めに、自動運転技術を用いたMaaSに代表される代替移動手段が役立つとすれば、それは素晴らしい転生だと思います。

 また、障がいをもたれる方にとっても、この先の自動運転技術が移動をサポートしてくれるようになれば、QOL(Quolity Of Life)と呼ばれる生活の質が向上し、健康寿命を長く保っていけるのではないでしょうか。

 日本は世界トップの超高齢社会です。そこでは自動運転技術やその要素技術によって事故を抑制していく、そんな展開が期待されています。人は等しく年を重ねるわけですから。

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