ホンダエンジン全廃の衝撃とEVシフトへの可能性

■ホンダにとっては「あとは実行あるのみ」

2020年10月30日に発売されたホンダe。上級グレードのアドバンスは154ps/32.1kgmを発生。バッテリー容量は35.5kWh、WLTCモード航続距離は259km
2020年10月30日に発売されたホンダe。上級グレードのアドバンスは154ps/32.1kgmを発生。バッテリー容量は35.5kWh、WLTCモード航続距離は259km

 EVシフトは多分に政治的な要素が強い動きではあるが、利用者のニーズを反映したものでもある。仮に市場がピュアEVに完全シフトすれば、自宅で充電できるので、ガソリンスタンドに給油に行く必要がなくなる(集合住宅が多いと言われる日本でも、自動車保世帯の7割が戸建て住宅に住んでいるので、すぐに充電設備を設置できる)。自動車に強いこだわりを持たないごく普通の利用者にとって、給油の面倒がないという利便性は極めて大きい。

 またEVは工学的特性上、低速時から極めて強いトルクが得られる。(鉄道や船舶と異なり加減速が多いという)自動車に求められる動的特性から考えれば、むしろEVの方が技術的に望ましいとの見方も可能だ。ガソリンエンジンはその構造上、高回転にならないとトルクが得られないので、やむを得ずトランスミッションを載せることになった。シフトダウンといったテクニックが生まれ、それが走る楽しみになったのはあくまで結果であって、自動車というのは内燃機関ありきの存在ではない。おそらくだが大半の利用者にとって、低速トルクが太いEVの方が運転しやすいと感じるのではないだろうか。

 またEVは部品点数が少なく、今後は圧倒的な低コスト化が見込まれる。利便性の高さや工学的特性、コストなどを総合的に考えると、EVが主流になる可能性は極めて高く、これは政治とは無関係の流れである。

 少なくとも資本市場はピュアEVが中心になるという見方で一致しており、有利な条件で資金調達を行うには、思い切った電動化戦略を打ち出す必要がある。資本市場というのは非常に厳しい世界であり、日本的な曖昧なスタンスは一切、許容されない。

 グローバルな水準に合致したホンダのEV化戦略は少なくとも資本市場では高く評価されており、それはとりもなおさず、同社が有利な条件で資金調達できることを意味している。資金は企業にとって命であり、資金調達に失敗した企業は例外なく消滅していく。

 EUや米国はすでに二酸化炭素排出量の多い製品に事実上の関税をかける国境炭素税の導入に動いており、脱酸素をめぐる環境は厳しさを増している。市場に対し100点満点の方針を示したホンダにとって、あとは「実行」あるのみということになるだろう。

【画像ギャラリー】エンジン車廃止宣言!! 激動のホンダ 主要現行車ラインナップ

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