■「売りたい」と「買おうかな」が交錯するポイント
販売店が売りたいのは山々だが、ユーザーが買いたい時期かどうかも重要だ。
夏商戦の起爆剤になるのが、夏のボーナスである。夏のボーナスの支給は、6月下旬から7月上旬に行われることが多い。そして一般的には、旅行や帰省など、お金を使うイベントが落ち着くと、クルマのような大きな買い物に対して、お金が動き始める時期に入る。
販売店にとって8月は、お盆休みがあり営業日数が少ない。そこで成果を最大化するために、消費マインドが最も効果的に動く時期を狙って、イベントを仕掛ける。
お盆明けの時期は、販売店の「売りたい!」と、ユーザーの「買おうかな」がクロスしやすいのだ。しっかりと注文数を確保し、9月の決算に備えたいお店は、ユーザーが思うよりも多いのである。
■夏は、短期決戦で決着すべし!在庫や中古車も効果的だ
夏の商談チャンスは非常に短い。今年の盆入りは8月13日(金曜日)だ。盆明けは8月16日(月曜日)となる。販売店によってもスケジュールは異なるが、短いところで8月13日から17日前後まで、長いところでは8月10日前後から19日頃まで、お盆休みをとるお店があるだろう。
このお盆休みを過ぎ、かつ9月末の中間決算まで、1か月半程度の時間が確保できる土日の営業日が、販売店の勝負である。今年は、8月21日・22日だ。
9月末の登録を考えると、翌週の8月28日、29日では少し遅い。ユーザーも、21日と22日の2日間で、決めに入りたいところだ。
ただし、この商談チャンスが使えるのは、通常納期のクルマがメインである。現在、各メーカーの人気車種は、軒並み2か月から3か月以上の納期を必要とするものが多い。
一例としてはホンダ・ヴェゼルで半年程度、日産・ノートで4か月程度、トヨタ・ランドクルーザーでは1年以上の納期となっており、こういった長納期のクルマには、熱い夏商戦も効果を発揮しにくくなる。
もし、勝負の2日間を過ぎてしまった場合には、新車であれば各販売店の在庫車両、もしくは中古車にターゲットを変更してみるのもいいだろう。製造時間がかからない在庫車両であれば、9月末の登録は十分に間に合う。在庫の新車や中古車は、年2回の商談チャンスを生かしやすいクルマである。
また、自身が買いたいクルマが、まさに今、注文すれば9月末に間に合うというならば、そこが夏の商談チャンスだ。選択する車種によって、チャンスの時期が変わってくることも理解しておくといいだろう。
昨年、年間で登録された乗用車(普通+小型車)は約248万台、月平均の登録台数は約21万台となる。このうち、昨年1年間で、月平均を大きく上回ったのは、3月(約32万台)と、9月(25万台)の2回だけだ。
このクルマの注文が入ったのは、いつだろうか。一部長納期のクルマも混じるが、おおよそは8月のお盆明けの時期に注文されたクルマであろう。
クルマの注文と、売上のタイミングが異なるという、販売店の事情を理解できると、商談スキルは一つ高まる。是非、皆さんには、お盆明けの商談チャンスを有効に使ってほしい。
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