■搭載は難しかった? ターボ化を巡るさまざまな事情
特に、同じ水平対向4気筒2.0LターボエンジンはすでにWRX STIに搭載されていて、プラットフォームも基本は同じ構造。すんなりキャリーオーバーできるのでは? と誰もが考えたものだったが、その希望は今回満たされなかったのだ。
もし、これが可能だったらターボを備えるEJ20型エンジンのそのパワーは308ps/422Nmと強力! しかし、2019年EJ20型は生産終了となり同時にWRX STIも販売を終了し、その夢は潰えた。とはいえS4に搭載されるFA20型も同じ2.0Lターボで300ps/400Nmと申し分ない出力。
しかし、熱の問題などスペース的にも難しいようだ。ボンネットに収まらないともいわれている。デザインもしかりだがコスト的にかなり上がってしまうこともネックとなったのだろう。
新型では今回新型レヴォーグで培ったインナーフレーム構造の製法を多く取り入れ、ハイテン鋼などの使用量を増やして高剛性化や衝突安全性も強化してきている。しかし、300psを超える大きなパワーアップともなれば、安全性のさらなる充実も視野に入れなくてはならない。
こうなるとセグメントを超えたモデルにもなりかねず、86/BRZというコンセプトから逸脱したモデルになりかねない。なるほど、考えれば考えるほど新型の自然吸気2.4L化はちょうど良いレベルといえなくもないのだ。
それを証明するかのように、タイヤもミシュラン・パイロットスポーツ4(18インチのみ)とハイグリップされ、ファイナルギヤ比もMT4.300→4.100/AT4.100→3.909に変更されていながらも、右足で振り回せるレベルのトルクを発生している。
■将来的なHV搭載は「あり得ない話ではない」
では、少し見方を変えてみよう。今回の試乗会ではスバル/トヨタの開発陣を交えたグループインタビューも実施され、上記のような質問も展開されたのだが、筆者はトヨタの直4エンジンが搭載できるのか? という質問もぶつけてみた。
直4にしてBMWのように多少角度をつけて寝かせればターボユニットを組み込むスペースも生み出せるのではないかと。
ただし、クランク軸高も変わるから背後に直結されるトランスミッションの高さも変わるだろうし、ボクサーエンジンを前提としたプラットフォームでは大幅な変更が必須となるだろう。
そこでターボよりもトヨタのハイブリッドシステムを使った86/BRZというのはできないのだろうか? 過去にスバルはXVでホンダと同じサプライヤーのハイブリッドシステムを流用していた実績がある。
これに関してはトヨタとの協業という見地からありえないことではないという主旨のコメントが返ってきた。
つまりは将来的に排ガス規制などのハードルが障害になり得ることはどのスポーツモデルにも共通した悩みなのだ。しかし86/BRZというモデルパーソナリティの立場から、やはりユーザーの胸を打つパワーであり、ハンドリングであり、続けることが最重要テーマ。
そのための電動化とはどのようなものなのだろうか? すぐに頭の中には浮かばないが、考えてみると面白い。
ここからは想像ではあるが、日産のe-POWERのようなシリーズ式ハイブリッドで後輪の軸上にインバーター直結のモーターを設置。
エンジンはそのままボクサーエンジンをフロントにマウントし発電モーターを直結。プロペラシャフトがなくなるので床下をフラットに2kWhレベルのリチウムイオンバッテリーを搭載して低重心化。その横を電動モーターまでハーネスを這わせる。
インバーター&電動モーターの冷却用ラジエーターの設置場所が考え付かず……。
まぁこれは夢の夢ですが。つまり、電動化となるとバッテリーEVにするのが妥当だろう。それはそれで乗ってみたいと思う。
さて、夢の電動化はさておいて、やはりターボで武装したコンプリートモデルがSTIあたりからリリースされることを個人的には夢見よう。
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