ロケット・ロンがもてぎに参上!? まさかのエルフ3にどよめき

ロケット・ロンがもてぎに参上!? まさかのエルフ3にどよめき

 ツインリンクもてぎで開催されているもてぎ7時間耐久ロードレース『もて耐』。

 8月21日、22日に開催された今年のレースで参加者や観客の耳目を集めていたのが、ゼッケン5の尾上サービス・エルフ3だった。

文:塩見誠/写真:池之平昌信

【画像ギャラリー】現代に蘇るモト・エルフ!! 中身はなんとイタリアの名車ジレラ!! なんなのソレ!?


■名作バイク漫画『ふたり鷹』にも登場した先鋭マシン

カラーリングは雑誌や実車を研究してデザインしている。スポンサーステッカーをボトムにまとめたのは、カウルのサイズ的に、実車のようなレイアウトが難しかったから

 エルフ3といえば、誰よりも速いスタートの反応からロケット・ロンと呼ばれた、ロン・ハスラム選手がライディングしていたマシンとしても知られている。

 新谷かおる先生の『ふたり鷹』にもエルフのマシンが登場したことから、1980年代に青春時代を過ごした人、つまりオジサン世代にとっては、ある意味憧れのマシンといっていいものだ。

 その実車は現在、ツインリンクもてぎの敷地内にある、ホンダ・コレクションホールで展示されている。

 エルフ3がほかのレーシングマシンと大きく違っていたのは、前後サスペンションが片持ち式スイングアームとなっていた、というところだった。

 その狙いは、エンジンブロックを剛性パーツとして使うことによる、フレームレスに伴う軽量化と、燃料タンクをエンジンの下に配置したことによる低重心化、というところにある。

 エルフプロジェクトの最初のマシンであるelf-xは、ヤマハTZ750のエンジンを搭載していたが、耐久レース参戦のために開発されたelf-eには、ホンダ製1000ccエンジンが搭載され、GP500クラスに参戦したエルフ2はRS500R、エルフ3にはNS500のエンジンが搭載されていた。

 つまりエルフとホンダの関係は、elf-eがその始まりとなる。

 ホンダVFR400Rなどに採用された、リアの片持ち式スイングアームは、パテントを持っていたエルフの許諾を受けて採用されたものだ。ここにも、エルフとホンダの、深い関係性が見て取れる。

■見た目はエルフ3そっくりだが、中身はワンオフパーツ満載のイタリア車

マシン製作の総合プロデューサーというべき、尾上忠則氏。敏腕メカニックだが、自身で走るのも、乗るのも大好きな51歳

 で、今回紹介するエルフ3である。このマシン、よくよく見てみると、オリジナルのエルフ3とはフロントサスペンションの仕組みが違っているのがわかる。というのもこれ、ベースとなっているのは、イタリアのジレラ社が販売していた、CX125なのだ。

 ジレラCX125は、2ストロークの125ccエンジンを搭載し、フロントにテレスコピックのモノチューブサスを、リアには片持ち式スイングアームを採用し、1991年に発売されたスポーツマシンである。

 尾上サービスの尾上忠則氏はこのマシンをベースに、エンジンをホンダCBR250Rの4ストローク単気筒に換装。

 さらにエルフ3に近いデザインのカウルは、アプリリアRS250用として販売されていた、サードパーティ製を装備したほか、ガソリンタンクに1KT型TZR250のものを、シートカウルにはCBR250Rのものを流用して、パッと見エルフ3、というマシンを製作した。

 といっても、実際の製作作業は簡単なものではない。たとえばエンジンの換装は、チェーンラインを合わせた状態でエンジンがフレームないに収まるかどうか、という確認から始まり、現物合わせでエンジン後部のマウントを製作。

 フロントマウントはノーマルではまったくあわなかったため、フレームを加工してサブフレーム固定用の穴を開け、サブフレームもワンオフ製作することで吊り下げている。

 またカウルは、純正カウル用のステーに、サブフレームを追加することで固定しているし、タンクはインジェクションやシリンダーヘッドとの干渉を防ぐため、裏側を叩いて整形した上で、インテークマニホールドやスロットルワイヤーボルダーもつくり直している。

 キャリパーが開いてしまっていたブレーキは、ブレンボのキャリパーをセットするべくブラケットを製作。フロントのブレーキローターは、オフセットが大きいスズキ・グース用を、ハブにスペーサーをかませて装着。リアブレーキもブラケットを介してブレンボキャリパーを装備している。

2020年のもて耐参戦では、序盤のクラッシュなどのトラブルもあったが、無事に完走。このエルフ初参戦のときから、SNSでは大きな注目を集めていた

 レース参戦が狙いのマシンだけに、サスペンションのセッティングも重要なポイントだ。このジレラCX125は、フロントサスがモノチューブ、つまり1本しかないが、現代のマシンとは違い、正立式のショックアブソーバーとなっていて、見た目以上に容量は少ない。

 そのため、インナースプリングは計4本製作し、ダンパーオイルも数種類用意した中で、ベストな組み合わせを見つけ出した。リアの別体タンク式オーリンズ製ショックも、バネレートや減衰力がオリジナルセッティングされている。

 エンジン自体にも手が入っている。ピストンはハイコンプのものに換えられ、カムシャフトも交換。コンロッドやクランクはバランス取りがされている。制御はメインコンピュータ+サブコンによって行われていて、許容回転数は1万1000回転。

 今回、ほんのちょっとだけ試乗をさせてもらったが、管長を稼ぐためにとぐろを巻いたような形状となっているチタン製エキゾーストマニホールドのおかげもあって、アイドリング近い回転数からでもスムーズな加速が味わえる。

 高回転域では7000rpmあたりからカムに乗り、その上でもう一段、突き抜けるような伸びを見せて1万1000回転まで一気に吹ける。ブレーキバランスもよく、制動力にも問題はなし。若干、立ちが強いか、というフィールもあったが、しっかりとフロントサスを沈めれば、ターンインが素直に行える。

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