圧倒的販売力に助けられた!? トヨタじゃなければ売れなかった車たち


■SAI/レクサスHS250h

写真は2013年改良型のSAI。当時のトヨタのモデルラインナップのなかでは「クラウンハイブリッドとプリウスの間を埋めるモデル」というポジショニング

 2009年から8年間、トヨタのアッパーミドルクラスのセダンとして販売されていたのがSAIだ。プリウスに次いで2車種目のハイブリッド専用車であり、高級価格帯に位置するSAIは、トヨタ全チャネルで販売された。

 クラウンを代表格とするトヨタのセダンは、各チャネルに看板車種があり、他車種との共存が難しい存在である。しかし、SAIの販売台数は堅調に推移した。

 ただ、ユーザーから見ると、プリウスや他の有名セダンとの違いが明確に分からず、SAIを購入したいと販売店に訪れる客は数少ない。それでも、年間平均1万台強の販売台数を誇るのは、販売店の積極的な「紹介」があったからだ。

 トヨタの営業マンは、プリウスや自チャネルの看板セダンでは満足しない顧客に、こぞってSAIを紹介した。買ってもらえるとは思わなかったが、話題程度にと思ってセールスすると、意外なほどに契約に結び付く。筆者もSAIの雑談から、契約に至った体験を何度もしている。レクサスのHS250hも、提案や紹介からの契約が極めて多かったクルマだ。

 大きな話題にならず、強いCM訴求なども弱かったクルマだが、販売店の地道な活動で、販売台数を伸ばした。トヨタ(レクサス)販売店の提案力が際立つ一台である。

■マークX

2004年秋に送り出されたマークX。デビュー時はスポーツセダンのような軽快なハンドリングが話題になった

 スポーティな上級セダンだったマークIIの後継車として、2004年に登場したのがマークXだ。バブル経済を足がかりに大ヒットしたマークIIとは違い、時代はミニバン全盛期。セダンに注がれる視線は冷たかった。

 スポーツセダンとして、キャラクターを強め、硬派な印象を貫き通した。トヨタの代名詞であるハイブリットも搭載されず、2019年まで販売を続けられ、上級スポーツセダンとして、恥ずかしくない販売台数を挙げている。

 マークXは、チャネル販売体制をとるトヨタだからこそ生き残ったクルマだ。トヨペット店で、最上級スポーツセダンの地位を確立し、ブランド化されていたのが、売れ続けた理由だろう。

 販売車種が限定されていたチャネル体制だが、個性的なクルマや、限られた市場で高いニーズを誇るクルマが誕生しやすい販売体系でもある。

 現在、各チャネルの取り扱い車種は統一されたが、チャネルを分け専売化していたことで、売れ行きが良く、さまざまなクルマが生き残る土壌が作られていたことを忘れてないでほしい。

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 キャラクターが弱くとも、広告にインパクトが無くても、似たようなクルマが同一メーカーに存在しても、何とか売ろうと考えるのが、トヨタの販売現場だ。ここには、メーカーと販売店が完全に分離しているからこそ生み出される、緊張の糸がある。

 メーカーは良いと思えるものを作るし、販売店は作ってもらったもの良い形で売るだけだ。売れなければ、作り手のせいではなく、まず自分たちの売り方が悪いと考える。

 販売のトヨタは、日本各地の真面目なセールスマンが作り出した。もしかすると、良いクルマを作りよりも、彼らをもってしても売れないクルマを作るほうが、難しいことなのかもしれない。

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