カローラクロスの顔は超平均点!? トヨタSUVラインナップのデザイン戦略

■オラオラ顔から脱出!! 親しみやすいデザインに

 カローラクロスのデザイン評価だが、バランスは悪くないし質感も適度に高いが、全体としては中庸そのもの。とんがった部分はまったくない。

 なにしろカローラクロスは、2020年まずタイで発表され、発売が開始されたアジア戦略車。途上国では、デザインで遊んで居住性を犠牲にすることはできない。よってカローラクロスは、居住性をしっかり確保したうえで、前後フェンダーのマッチョ感やフロントフェイスの今どき感で、ステイタス感を適度に演出しているのだ。

 基本的には、現在世界で4番目に売れている超量販車・RAV4のちょい小型版というイメージだが、フロントマスクの表情はRAV4より優しく控え目だ。

RAV4のフロントマスクは、オフロードをイメージさせる写真の「Adventure」と都会的な「G・Xグレード」の2種類を設定
RAV4のフロントマスクは、オフロードをイメージさせる写真の「Adventure」と都会的な「G・Xグレード」の2種類を設定

 個人的には、RAV4のデザインは「万人向けでまったく面白味がない」と感じているが、カローラクロスはそれよりさらに控え目なのだから、存在感の希薄さでは、トヨタのSUV群中随一だ。それだけ万人に受け入れられやすいが、同時に押しも弱い。

 「そんなことはないだろう。このガバッと開いた大きな口(グリル)は、かなり威圧感あるんじゃない?」という意見もあるでしょうが、これくらいは今や世界標準。逆にガバッと開いてない口のヴェゼルが個性的に見えることからして、カローラクロスの顔は超平均点なのである。

 この優しい顔つきでは、ルームミラーに映った時の威圧感に関しては、四角い顔のライズや、宇宙人っぽいヤリスクロスにも負ける。この押しの弱さが、吉と出るか凶と出るか。

 近年、トヨタの挑戦的で大胆なデザインは、大成功が続いている。「やりすぎだろ!」というくらいのモデルが大ヒットしているのだ。その代表がヤリスとアルファード。どちらも強烈すぎるくらい個性的な顔つきだが、それが万人に受けているのだから、もはや万人向けという言葉の意味を変える必要すら出てきている。

 つまり、万人向けのはずのヤリスクロスが、日本市場では意外と万人にウケない可能性もあると見る。まぁ、ライズもRAV4も売れているので、ちゃんと売れるんでしょうけど、自動車デザインウォッチャーとしては、「あまりにも凡庸」と評価するしかありません。

■なぜフロントマスクのデザインがアジア向けと異なるのか

タイ仕様カローラクロスのフロントスタイル
タイ仕様カローラクロスのフロントスタイル

 ところでカローラクロスは、タイなどアジア向けと日本向けとでは、フロントマスクが微妙に異なる。アジア向けはグリルがもう少し上、ヘッドライトのラインまでかぶっていて、その分下側中央にバンパー的なデザインが挿入され、最下部にフロントアンダーガード的なパーツがついている。

 いっぽう、日本仕様(と中国仕様)は、トヨタエンブレムに代わってカローラの「C」が入り、その部分は独立したはめ殺しグリル風になり、実際のグリルはその下側から。ただしバンパー風パーツもフロントアンダーガード風パーツもなく、台形の大開口グリル部が下に移動したかっこうだ。

 アジア向け仕様は、それなりにオフロードっぽいイメージなのに対して、日本仕様は都会っぽく仕上げている……のだと推測されます。まあどっちもどっちというか、五十歩百歩なんですが、日本と中国向けは、街に似合う先進国仕様?ということでしょう。

 いずれにせよ、カローラクロスのデザインは超平均点。ある意味ホッと安心できるし、こういうのを待っていたユーザーも少なくないのだろうと思います!

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