■エンジン&トランスミッション:半年以上乗らずに放置は避けたい
川の水は常に流れているから澄んで透き通っているのであって、流れが止ると澱んで濁ってしまう。
エンジンオイルやミッションオイル、冷却水といった油脂類も同様。循環しているからこそ一定のコンディションを維持できており、適度に流れているから必要なときにキッチリ機能してくれる。
例えば、エンジンオイル。長期間、動かすことなく駐車しておくと潤滑を必要とする摺動面から流れ落ちてしまうため、エンジンの回りが重くなり、無理に回せば摺動面を傷つけることも。駐車環境によってはサビてしまうこともある。
ゴム製のホース類も熱が加わって柔らかくなり、絶えず伸び縮みすることで弾力を維持できている。このため、多少走行距離が伸びたとしても、コンスタントに走らせていたクルマの方が調子はよい。
また、エンジンやミッションのように潤滑のためのオイルがケース内に貯められた部位から、クランクシャフトやドライブシャフトといった回転軸が引き出されている部分には、オイルが漏れ出すのを防止するゴム製のシール(オイルシール)が組み付けられている。
このゴムシールも熱が加わり、かつシャフトの回転によって揉まれることで柔軟性を維持しているため、冷えた状態で長期間、動かさずに置いておくと硬化してオイル漏れを起こしやすくなる。
平成以降、ゴムパーツの耐久性は格段に向上し1~2ヵ月、放置したからといってただちに問題になることはない。
しかし、半年や1年といった長期間となると話は別。「半年以上」乗らずに放置は極力、避けたい。特に、駐車場所が雨ざらしの屋外で、さらに路面が湿気のこもりやすい未舗だった場合、注意が必要だ。
■タイヤ:荷重がかかった状態で放置、3年以上たったタイヤはいわゆる「風邪を引いた」状態
ゴムを主成分とするタイヤも、路面からの衝撃で伸び縮みを繰り返すことで柔軟性が維持されており、駐車して一点に加重がかかった状態で長期間、放置すると変形してしまう。
タイヤが変形してしまうとホイールバランスが崩れ、振動が出たりハンドルを取られたり、走行中に異音が出たりする原因となる。
しかも、変形が始まったタイヤは自然に元に戻ることはなく、いつ起きるとも限らないトラブルの種を抱えた状態にある。異常に気付いたならただちにプロに点検を依頼したい。
また、空気圧不足によるタイヤが潰れた状態だった場合、当然、その変形の度合いは大きくなる。走る距離が短く、駐車期間が長くなればなるほど、空気圧チェックも疎かになりがち。
タイヤの素材であるゴムは空気を透過する性質があるため乗らなかったとしても「1ヵ月に1度」は空気圧のチェックを。そして、必要に応じて補充することで適正な空気圧を維持することが大切だ。
注意すべき点はまだある。屋外での利用が一般的なクルマは、問答無用でかなりの「紫外線」を浴びる。
この「紫外線」、タイヤの主成分であるゴムにとって大敵。古くなった輪ゴムは弾力がなくて引っ張っただけで切れてしまう。
これは大気中のオゾンや酸素、日光に含まれる紫外線で引き起こされる「経年劣化」で生じる現象で、硬化と共にヒビ割れも生じる。
年数が経過するとタイヤにもこのような現象が生じ、表面が硬化したところにたわむ力が加わることで、表面に細かな無数のヒビ割れを生じてくる。
しかも、荷重がかかった状態で長期間、放置したり、空気圧が少ないと側面が必要以上にたわんだ状態となるため、よりヒビ割れも起きやすくなるので注意!
業界用語では「風邪を引いた」と言われる状態で、製造から3年以上経過したタイヤで、このような状態になっていたら要交換だ。
側面が劣化したということは、トレッド面(接地面)にも劣化が及んでいる証拠。溝は十分残っていたとしても、グリップ力は確実に低下してしまっているからだ。
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