動かさないと寿命が短くなる矛盾!? クルマは長く乗らないとココが悪くなる!

■バッテリー:乗らずに放置すると5年の寿命が3年に!

最近では、コンスタントに走らせているクルマなら、バッテリーの寿命は5年ほど持つというが、ほったらかしにしているとこのように緑青や硫酸塩の粉が吹いている場合が多い(Songkhla Studio@Adobe Stock)
最近では、コンスタントに走らせているクルマなら、バッテリーの寿命は5年ほど持つというが、ほったらかしにしているとこのように緑青や硫酸塩の粉が吹いている場合が多い(Songkhla Studio@Adobe Stock)

 バッテリーはまったく電気を消費しなかったとしても、貯められている電気の量が自然に目減りしていく。「自己放電」と呼ばれる現象が生じるからで、放置期間がながくなるほど放電量は多くなる。

 また、補機用に12Vを発生する車載バッテリーは「鉛バッテリー」と呼ばれる極板に鉛を使用しているバッテリーで、バッテリー液(電解液/希硫酸)と極板との間に生じる化学反応によって電気を貯めたり、放出する働きをしている。

 が、そのバッテリー液を注入した時点から劣化は始まり、実質的な容量(電気を溜めておける量)が徐々に減少していく。

 このため、年数が経過するほどにバッテリー上がりを起こしやすくなる。しかも、劣化すると内部抵抗が増加して電気が流れにくくもなるため、回転時、瞬間的に100A以上もの大電流を流れるセルモーターの回りが弱々しくなったり、回し続けられる時間が短くなったりもする。

 新車時の車検が3年に延長されて以降、バッテリーの耐久性も伸びており、エンジンさえ回ってしまえば充電されるため、コンスタントに走らせていればヘタリを感じることなく5年くらいは使うことができる。

 しかし、乗らずに駐車しておく期間が長いという利用状況なら、3年過ぎたら確実にバッテリー上がりを起こしやすくなっているので注意! 

 もしも、セルの回りが弱々しかったり、一瞬止まるなど息付きする状況が頻繁に起こるようなら、ただちにプロにバッテリーチェックの依頼を。そして、もしも「要交換」という診断がでたなら、迷うことなく交換したい。

サルフェーションはバッテリーの起電力を低下させてしまうので、月に数度程度しかクルマに乗らないのであれば、パルス充電機能のあるバッテリー充電器でバッテリーを補充電してやると、バッテリーの寿命はグンと伸ばせる
サルフェーションはバッテリーの起電力を低下させてしまうので、月に数度程度しかクルマに乗らないのであれば、パルス充電機能のあるバッテリー充電器でバッテリーを補充電してやると、バッテリーの寿命はグンと伸ばせる

■ブレーキ:ブレーキパッド交換の目安は4~5年、これ以上経過したものは残量が十分あったとしても交換したい

クルマから「キーキー」と音が鳴れば、ブレーキパッドの交換時期が近づいた証拠(Pongmoji@Adobe Stock)
クルマから「キーキー」と音が鳴れば、ブレーキパッドの交換時期が近づいた証拠(Pongmoji@Adobe Stock)

 ブレーキパッドにはこれ以上、使うことはできないという摩耗限界が設定されている。一般に2.5mmで、それ以上の厚みが残っていたなら基本的に交換する必要はない。

 しかし、十分な厚みが残っていたとしても、年数が経過したものはこの限りではない。

 ブレーキパッドはブレーキローターに擦り合わせることで生じる摩擦によって制動力を得ており、制動時には200~300℃という高温に晒される。このため、峠道などでブレーキを使いすぎるとライニング(摩擦材)の表面が焼けて炭化。効きが悪化してしまう。

 経年劣化によっても硬化するため、使用年数が経過すると、やはり効きが悪くなってくる。摩耗しにくくなることでブレーキローターへの食いつきが悪くなるからだ。

 さらに、ホイール内にむき出し状態で組み付けられているという、路面から跳ねた雨水や湿気に晒されやすい環境にあるため、年数が経過すると裏板が錆び、酸化物ごとライニング(摩擦材)が剥がれてしまうことも。

 つまり、残量が大切なものの、年数や使い方で考える必要もあるわけ。目安は4~5年、これ以上経過した物は残量が十分あったとしても交換したい。

 また、ブレーキペダルの踏み力の伝達という重要な役割を担っている「ブレーキフルード」は湿気に弱く、1年も経過すると水分を取り込んで劣化。徐々に茶色く濁ってくる。そして、2年以上使い続けると混入した水分でマスターシリンダー内壁がサビて液漏れを誘発。

 吸水すると沸点が下がってべーパーロックなどのトラブルも起こしやすくなるので要注意! 走行距離が少ないからといって、交換を怠ってはならない。できれば1年毎、遅くとも車検毎の交換が必須だ。

【画像ギャラリー】半年以上クルマに乗っていない人は要確認! 傷みやすい部品をギャラリーでチェック!!

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