■走り、燃費
ここからはフィットを基準に2台を比較していく。フィットは動力性能、ハンドリング、乗り心地など、「飛び抜けたところもないけど、大きな不満もなく、いい意味で普通」という印象で、全体的に堅実なまとまりだ。
ヤリスは1.5リッターガソリンはちょっとノイジーなところはあるが、クルマ好きなら「エンジンの存在感」と受け入れられる点や、ハイブリッドのモーターの力強さによるクルマをグイグイ引っ張る加速感、シャープなハンドリングなど、全体的にスポーティだ。
実用燃費はハイブリッド同士でフィット22km/L、ヤリス28km/Lといったところで、絶対値が高いだけに決定的な差ではある。しかし、後述するフィットの広さ(≒運べる量、できること)を考えれば、納得できる範囲とも言える。
■自動ブレーキ、運転支援機能
フィットは夜間の歩行者にも対応する自動ブレーキや、停止まで対応する先行車追従型のアダプィブクルーズコントロール(以下ACC、電動パーキングブレーキによる停止保持機能付)を持つなど、現代のクルマに求められる水準を大きく上回る自動ブレーキ&運転支援機能を備える。
点数を付けるなら日本車全体で見て85点、コンパクトカーなら93点というイメージだ。
対するヤリスは、夜間の歩行者対応はもちろん、右直事故にも対応する自動ブレーキ、ACCも今年5月の一部改良モデルから停止保持機能こそないものの停止まで対応と、フィットを上回る。
さらにメーカーオプションで、実用的に使える性能を持つアドバンスドパーク(自動駐車機能)、斜め後方を監視し、進路変更の際の事故防止に役立つブラインドスポットモニタリングを設定するなど、自動ブレーキ&運転支援システムは400万円級のモデル並だ。
そのため、点数を付けるなら日本車全体で見て90点超え、コンパクトカーなら100点というイメージだ。
■インテリアはどっちに軍配がある?
フィットはアップライトなポジションで、デジタルメーターや2本スポークのステアリング、仮のもの的となる細いAピラーによる前側方視界の広さなど、未来的な雰囲気も持つ。
ヤリスはオーソドックスで、ポジションも低めでスポーティと対照的だ。
フィットは歴代モデル同様、リアシートに2人が乗って、ラゲッジスペースには4人で旅行に行く際などのそれなりに大きな荷物が収納可能と、コンパクトカーながらミドルクラス級の広さを持つ。
また、リアシートを倒せばラゲッジスペースとフラットになる点や、リアシートの座面を跳ね上げれば高さのあるものも運べるモードなど、シートアレンジも豊富だ。
ヤリスのリアシートは「長時間はあまり乗りたくない」と感じる広さで、ラゲッジスペースもそれなりに大きい4人分の荷物を積むのは無理と、3人+荷物までで使うクルマというイメージだ。
そのため、リアシート&ラゲッジスペースに関しては、コンセプト通りフィットの圧勝だ。
特に目立つものはなく質実剛健なフィットに対し、ヤリスは必要性などはともかくとして乗降が楽になる回転シートのオプション設定や、乗降の際に運転席を下げてもドライビングポジションを記憶してくれる機能など、前向きさや明るさを感じる機能も用意している。
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